平和の響き ウクライナに届け 岡山のKAORIさんが楽曲制作

ウクライナの平和を祈るオリジナルソングを収録したCD。キーウにいるオルガさんにも送付した

 平和の響き、ウクライナに届け―。地域の応援歌などを手がけているシンガー・ソングライターORi―ZURU KAORI(本名・田中佳織)さん(52)=岡山市北区=が、ロシアの侵攻が続くウクライナの平和を祈るオリジナルソング「灯―TOMOSHIBI」を制作した。不安を抱えながら国外へ避難している人、現地で明日をも知れぬ日々を過ごしている人たちに向けた「生きていてほしい」という真っすぐなメッセージを込めた。収録したCDを発行し、ウクライナの知人をはじめ、各地の避難者に送っている。

 ウクライナから逃げてきた人に<はなれていても 一緒だよ><罪悪感あっても 愛する心が あれば 大丈夫>と優しく語りかけ、サビで<どんなことも 乗り越えて 一人じゃない><再び 出逢えると信じて 私の国 生きる ウクライナ>と力強くエールを送る。終盤は<みんなで みんなで 祈ろう 生きよう>と平和への思いを情感豊かに歌い上げる。

 日本に避難してきた人の支援活動を通じ、神戸市に滞在していたオルガさんという40代女性と知り合ったのがきっかけだった。昨春、彼女が落ち込んでいたのに気付き、歌で励まそうと決意。「生き続けてもらうための歌」をテーマに据え、避難者を追ったドキュメンタリー番組などで心境への理解を深めて作詞作曲した。

 岡山県内の知人らも協力。ピアノによるアレンジと演奏を手がけたサンミゲルコバさん(高梁市)は「イントロにウクライナ国歌をオマージュしたメロディーを取り入れ、少しでも安らげるよう願いを込めた」とする。

 11月末の発売を前に、KAORIさんが首都キーウに戻ったオルガさんに送ったところ、11月下旬に到着。「とてもきれいな曲。こちらでつくっているコーラスグループで歌いたい」と連絡があり、追加を発送した。中国地方の各県庁に問い合わせて全避難世帯分約50枚も送付。今後も神戸市など国内をはじめ、他国に避難している人にも配る予定。

 オルガさんから昨年末にも、1日に何度も空襲に見舞われていると連絡を受けたというKAORIさん。「何もできずもどかしいが、歌の力で、苦しんでいる人に頑張ろうという意欲が湧き、少しでも生きる力につながれば。平和に過ごせている人にも、今ある日常や命に感謝し、誰かのために何かしようという思いが広がってほしい」としている。

 CDは自主制作で売り上げで輸送費を賄う。「ORi―ZURU KAORI」のサイトで販売しており、送料込みで1枚1220円。問い合わせもサイトから。

ウクライナの平和を祈るオリジナルソングを作ったKAORIさん

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