衝突の日航機、全損事故は初 専門家、複合材の性能「検証を」

焼け焦げた日航機=3日、羽田空港

 羽田空港で海上保安庁と日航の航空機が衝突、炎上した事故で、日航の機体は欧州航空機大手エアバスの最新鋭機A350―900型だった。軽量化で燃費向上を図るため、炭素繊維と樹脂を組み合わせた複合材料を多く使っているのが特徴で、エアバスによると、A350の全損事故は初めて。専門家は炭素繊維複合材の性能について検証し、安全性向上に生かすべきだとしている。

 日航とエアバスによると、A350は全長66.8メートル、全幅64.75メートル。機体全体の53%に炭素繊維複合材を使用し、大幅な低騒音化と燃費の改善、二酸化炭素排出量の削減を実現する一方、アルミ合金を多く使う従来機と同等の耐久性、耐火性を持つという。

 東北大大学院の岡部朋永教授(複合材料工学)は「全員脱出まで機体は形状を保っており、複合材の安全性に問題はなかった」と評価。炭素繊維自体は熱に強いものの、プラスチック樹脂は不燃ではないとし「航空関係者は複合材を使った機体は、燃えてしまうんだという事実を真剣に受け止めるべきだ」と指摘した。

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