コウノトリ伝説から着想 菓子開発 岡山南高生、鴻ノ池SAで販売

SA運営会社担当者から「幸呼卵」の完成報告を受ける(右から)上田さんと河原さん

 岡山南高(岡山市北区奥田)の生徒が企業とのタッグで開発した土産菓子が、瀬戸中央自動車道鴻ノ池サービスエリア(SA、倉敷市児島塩生)にお目見えした。SAに程近い神社に伝わるコウノトリ伝説に着想を得たという「幸呼卵(こっこらん)」だ。原料の調達難に伴う開発中断を経て生み出した卵形まんじゅうで、その名の通り、生徒たちにも購入客にも幸せを呼び込むか―。

 同じ児島地区にある鴻(こう)八幡宮の名前がヒントになった。その昔、参拝者に恐れられる大蛇がいたが、鴻の鳥が群れ集まって退治したことが由来と伝わる。生徒たちは2022年8月、SA運営会社で交流のある下津井電鉄(岡山市)から商品の開発依頼を受け「幸せを運ぶ」といわれるコウノトリを思わせるこの伝説に着目。「人々に幸せを届けたい」との思いで味や形状、商品名を考案した。

 昨年11月に販売をスタートさせた。岡山県産小麦と卵、牛乳を原料とし、滑らかな舌触りと優しい甘みが特長。商品パッケージにはコウノトリをモチーフにした独自キャラ「鳥幸(とりゆき)くん」をあしらい、ほのぼのとした印象で購買意欲をたぐり寄せる。

 開発は当時、商業学科生のうち3年生32人が製造、販売、デザイン担当の各企業とともに手がけたが、大きな壁にぶち当たった。22年秋以降、県内で続発した鳥インフルエンザだ。原料の卵は品薄となり、製品化は中断を余儀なくされた。32人は完成を見ることなく卒業。卵の供給が安定した昨秋、現3年生30人が引き継ぎ、市販にこぎ着けたという。

 「中断はショックでしたが、こうして形になったことがうれしくて」とは当初の開発メンバーだった上田乃々香さん(19)=岡山大1年。河原朱音さん(19)=就実短大1年=も「多くの人に食べてもらえると思うと感慨深い」。

 SA運営会社によると上り、下り両線の各売店で扱い、売れ行きは順調という。1個190円。箱詰め(6個入り)1200円。

滑らかな舌触りと優しい甘みが印象的な「幸呼卵」

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