最高気温3.2度…「温かい料理で…」 炊き出しを調理するのも被災者 /被災地ルポ~今週のまとめ

梅田航平記者:「(12日)午前9時過ぎから4日目の大規模捜索が始まりました。時折雨も降り、強い風がふく中の活動となっていて、捜索隊は焼け落ちた家を慎重にかき分けながら作業を進めています」

22人(12日午後2時現在)の安否不明者がいる輪島市。輪島朝市通り周辺では、12日も警察官200人以上による大規模な捜索が行われました。

最高気温3.2度の被災地 炊き出しで「温かい料理を」

現地に入っている静岡朝日テレビの記者は、電気や水道がいまだ回復しない輪島市河井町に向かいました。

和田佳代子記者:「輪島市の山間部を走っています。雪が降り積もっていて辺りは真っ白です」

8日、石川県輪島市内は雪に包まれていました。そうした中、輪島塗などの伝統工芸体験ができる施設ではボランティアたちによる炊き出しの準備が行われていました。この日作られたのは1400食分のカレー。メーンとなって調理しているのは、同じ市内の飲食店のオーナーたちで、自らも被災者です。

フレンチシェフ 池端隼也さん:「僕の店も裏の店もくちゃくちゃになっているところから引っ張り出して最初は。ちょうど正月だったので、みんな、この辺は2日から営業するんですけど、冷蔵庫・冷凍庫ぱんぱんに入っていたのを、みんなで引っ張り出して」

フレンチシェフの池端さんは発災の翌日から、近所の飲食店仲間と炊き出しや避難所に料理を届ける活動を行っています。

フレンチシェフ 池端隼也さん:「震災が起きてからおにぎり冷たいやつが1個だけだったんですね。その避難所が。やはり温かいものを食べてない人が多い。きょうも雪が降りましたし、僕は料理人なんで、とりあえず温かいものを届けようと思っています」

この日、輪島市内の最高気温は3.2度。炊き出しの料理は格別なものがあるといいます。

被災者(家族):「温かくておいしいです。(温かいものは)家で回数少ないですけどお湯を沸かしてスープを飲むくらいなので、ありがたいですね、本当においしいです」

被災者(家族):「まだ余震とか続いているんで、ちょっと不安なんですけど、職場が結構つぶれちゃったんで再開できるかという不安はまだあるんですけどね。頑張っていくしかないかな」

被災者(家族):「(子どもに)おいちい? よかったわ」

静岡県からも相次ぎ支援…いなば食品は缶詰20万食

県内からも支援が続いています。静岡市清水区では、大量の段ボールがトラックに積まれていました。その中身とは…。

伊地健治アナウンサー:「今、私の後ろにある10トントラックには、箱に入った大量の荷物が積み込まれています。実は静岡市清水区に本社を置くいなば食品が、このように焼き鳥の缶詰を被災地の石川県に送るために作業が行われているんです」

段ボールの中身は焼き鳥の缶詰。およそ20万食、値段にしておよそ3000万円相当を被災地へ送る作業中です。

いなば食品 鈴木誠二郎さん「食事に苦労してる方々が皆さんいらっしゃると思うので、少しでもご協力できればと思いまして、送ることに決めました。すぐに開けて食べられるということで、一番利便性があるんじゃないかなと思いまして、提案は私どもでお願いをしたんですけども、現地も色々混乱されてるようなので、納品場所とか日程の調整がすぐには決まらなかったものですから、市の方でご協力いただいて、市の方から送っていただく形に」

トラックに積み込まれた缶詰は、およそ8時間をかけて石川県金沢市の物資集積所へ届けられました。

磐田市は『トイレトラック』派遣

一方、磐田市からは、トイレトラックが石川県穴水町へ。

磐田市危機管理課 池田大輔さん:「ウイルス蔓延の防止、ストレスの軽減。この2点が改善出来ると思っております」

この車両トイレは男性用と女性用、多目的用とに分かれていて、700リットルの貯水タンクや、蓄電用のソーラーパネルが備わっています。

藤枝市は『温水も出るシャワー設備』

藤枝市からは温水も出るシャワー設備とトイレカーが派遣されました。温水AIシャワーは家庭用給湯器と同等の温水が出るほか、水をろ過して再利用することが出来ます。

政府は能登半島地震を「激甚災害」と「特定非常災害」に指定しました。「激甚災害」に指定することで、道路や農地などの復旧にかかる事業の補助金を国が上積みするなど早期の復旧を後押しします。

隣人が見つからない

今回の地震後の火災で跡形もなくなっていた朝市通り周辺。家が建っていた場所の前で、呆然と立ち尽くす男性に話を聞くことができました。

男性:「隣りのおじいちゃん、おばあちゃんが見つかってないので、今警察の方々が頑張ってくれているので、見つかるといいなと思っている」

Q.そのおじいちゃん、おばあちゃんは連絡が一切取れていない?

A.「ですね」

Q.いまだに行方が分かっていない?
A.「2人の行方が分かっていないので、震災起きた直後も下敷きになっているんじゃないかと町内の人が言っていたので、いまだに見つかっていないから、多分そこにいるんじゃないかと思う。そっちの方が大変ですよ』

自宅を被災しながらも、今は、知り合いの安否が気がかりでなりません。

そして今後への不安も。

男性:「正直、これ復興できるのかなという…。個人的に、去年も大船渡の方に行ってきたが、すごくきれいな町になっていて、復興出来て良かったですねって言っていたんですけど、まさか僕もこんな立場になると思っていなかったので…。みんな戻ってくるのかなって、ちょっとわからないですね」

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