脳性まひのシンガーソングライターがプロデビュー 歌詞に込めた「生まれ変わっても今の僕がいい」

シンガー・ソングライターとしてプロデビューした関本さん(亀岡市宮前町)

 脳性まひのため車いすで生活している関本泰輝さん(20)=京都府亀岡市=が、シンガー・ソングライターとしてプロデビューを果たした。優しい歌声と音程を外さない歌唱力がレコード会社の目に留まった。幼い頃からの夢をかなえ「歌声で少しでも笑顔になってくれたらうれしい」と語る。

 関本さんは、映画「アナと雪の女王」の主題歌を歌ったMay J.さんに憧れ、2016年からボイストレーニングを開始。丹波地域を中心にライブに出演している。ソロ以外に、双子の兄と丹波支援学校(南丹市八木町)の同級生で結成した車いすユーザーの4人組バンド「Wheel Chair Boys(ウィール・チェア・ボーイズ)」のボーカルとしても活動する。

 プロデビューのきっかけをつくったのは、作曲家のACOON HIBINO(エイコン・ヒビノ)さんだ。関本さんは2022年秋に、自身の境遇を描いた初のオリジナル曲「Myself(マイセルフ)」を作り上げた。「ヒビノさんにも聴いてほしい」と、昨年4月に吹き込んだCDを手渡した。

 2カ月後、レコード会社「テイチクエンタテイメント」(東京)から関本さんの家族に連絡があり、プロデビューを打診された。曲を聴いたヒビノさんが「歌声がすごく優しくて、安心感を与える。プロで最も重要な音程も良くて、勝負できる」と直感し、音楽プロデューサーに売り込んでいた。寝耳に水で、最初は詐欺かと疑ったが「挑戦してみたい」と快諾した。

 オリジナルの5曲を収録したミニアルバム「僕が僕であること」を、昨年12月13日にリリースした。うち4曲は関本さんの作詞で、幼い頃から書きためていた日記から言葉を拾い集めて紡いだ。

 「Myself」の歌詞には「もし生まれ変わっても今の僕がいい」という一節があり「車椅子」は「あいぼう」とルビを振る。自身の境遇を悲観せず、むしろ肯定的に考えている姿が浮かぶ。「僕が僕であること」は昨年20歳を迎えて「大人になるって何だろうな」と素朴な疑問を投げかけている。

 関本さんは小学生の頃から「将来の夢は歌手」と言い続けてきた。「僕の歌を、もっといろんな人に聞いてもらいたい。みんなが夢に向かって頑張ろうと思ってくれればうれしい」

■亀岡市でワンマンライブ開催へ

 関本さんのデビューミニアルバム発売を記念したワンマンライブが28日午後2時から、ガレリアかめおか(亀岡市余部町)で開かれる。

 アルバムに収録されているオリジナルの5曲と、カバー2曲を披露する。バックバンドは、作曲を担当したヒビノさん(ピアノ)や岡本博文さん(ギター)らプロのミュージシャン4人が務める。入場無料。

ワンマンライブに向けて音を合わせる関本さん(左端)たち
関本さんのミニアルバム「僕が僕であること」のジャケット

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