ポステコグルー監督も「絶対に受けた方が良い」とのアドバイス…横浜FMのキューウェル監督が選手たちに求めるもの「成長と学び」

横浜FMを指揮するハリー・キューウェル監督[写真:©超ワールドサッカー]

横浜F・マリノスは13日、ハリー・キューウェル監督の就任会見を行った。
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2023シーズンは連覇を目指した中で、明治安田生命J1リーグでは2位に終わった横浜FM。タイトル奪還を目指す中で迎える2024シーズンは、かつて日本の宿敵でもあった元オーストラリア代表FWを指揮官に迎えた。

ファン・サポーターを集めて行われた新体制発表会にも登場したキューウェル監督。挨拶をした中で、発表会後に就任会見を執り行った。

セルティックでコーチとして働いていたキューウェル監督は、2023年夏にフレンドリーマッチを戦うために横浜を訪れ、横浜FMと対戦。日産スタジアムでもすでにセルティックを指導していた。

今回ケヴィン・マスカット監督が退任し、その後を引き継ぐこととなった中、経緯を明かした。

「アンジェ(・ポステコグルー)が自分が監督だった時にどれだけJリーグが素晴らしいリーグだとか、日本での経験を得て、最高の国であると言っていた。『もし、日本でやるチャンスが来るのであれば、絶対に受けた方が良い』と伝えてもらっていた」

「去年の夏に日本に来て、マリノスと試合をした。素晴らしいチームだなと思っていたし、最終戦が終わった後、マリノスから監督のオファーをもらい、今日を迎えることができた」

アンジェ・ポステコグルー元監督(現:トッテナム監督)から始まり、マスカット監督、そしてキューウェル監督とオーストラリア路線が続く横浜FM。監督と選手や選手同士として知る前任者たちから話も聞いていたという。

「彼らとな長い付き合いで、いつでもアドバイスをもらったり、ずっとサッカーの話ができる最高の関係だ。常にポジティブな考えを共有できている素晴らしい関係だ」

その中でチームに対して求めることについても言及。まだトレーニングは行われていない中で、ハードワークを求めたいとした。

「とにかく今シーズンのメンバーを見て楽しみにしている。早く彼らと会うことを楽しみにしている。自分が選手たちに求めるのは成長、人としても選手としても成長してもらいたい」

「毎日練習の中でただ来るのではなく、求められている、テストされていると感じてピッチに立って欲しい。とにかく学びを止めないでもらいたい」

「ハードワークが好きであり、チームにも求めている。プラス、理解を深めてハードワークを求め、成果として表してほしい」

選手に成長と学びを求め続けたいと語ったキューウェル監督。しかし、今シーズンの戦い方については「この時点で深く話すことは控えさせてもらう」とコメント。「選手たちと一緒に何を深めるかが大事だ」と語り、「サッカーというのはアタッキングフットボール、ボールの保持、ボールを失った時のリアクション、強度の高いサッカーは何も変わらない。このオーストラリア人がプラスアルファで何かを加えると思うし、そこを見てもらいたい。去年なかった部分をここでやっていければと思う」と、多くを語らずも、これまでのサッカーに新たな要素を加えていきたいとした。

また選手育成についても語り、セルティックでは元横浜FMで日本代表FW前田大然を指導していた。ただ「大事なことはその選手の何が最大限の特徴なのか。そこをまずは見る。それを生かすことを一番大事にしている」とコメント。「サイドの速さ、スピードはあるけどドリブルができない選手がいるとする。ドリブルをさせても時間がかかる。そうであれば、彼の速さをうまく使っていくことが大事だ」と、個人個人の特徴を活かせる形で指導していきたいと語った。

前田についても語り「前田大然の質がどこにあるのか、特徴はなんなのかを見ることが大事。彼の最大限のここが凄いという部分があり、どんどん伸ばすことにしていった。このチームでもそれは変わらない」と語り、まずは選手の特徴を把握するところからスタートする状況。選手としてはアピールのしがいもありそうだ。

これまではライバルでもあった日本。その地で指揮を執ることになったキューウェル監督。Jリーグについては「他の国にいながら強くなっている印象を受ける」とコメント。「数多くの日本人選手が日本を出てヨーロッパや他の大陸のリーグで活躍している選手が増えている。その強さを感じている。そして、代表を見ていて、強さはこの数年で見違えるようになっている。アジアカップも楽しみだ」と、日本のサッカーの発展を感じていたと明かした。

また、セルティックでは前田をはじめ5人の日本人選手と共に活動していた。日本人選手の特性にも触れ「セルティックでは4、5人の日本人がいたが、学びの姿勢に驚かされていた。前田大然と話していた時に、このポテンシャルがあるのにまだ何を学びたいのか。彼の吸収したい姿勢を忘れることはない」と、貪欲に学ぶ姿勢に驚いたという。

さらにポステコグルー監督からも「日本にいてJリーグを見てきたが、必ず好きになると言われた。学びに飢えている選手たちに溢れていると言っていた」と、日本人の気質を聞いていたとし、「監督として一番幸せな部分だと思う。学ばないよりも学んで欲しいという気持ちがある時にその姿勢がないと残念であり、その姿勢が見られることが楽しみだ」と、学ぶ、成長するという姿勢が気に入っているという。

日本に長く滞在したことはこれまでないキューウェル監督。来日したばかりで日本はよく知らないと語ったが、「来日して2日目なのでたくさんのことは見られていないが、セルティックとして夏に来ることがあった。10日間日本にいたが、そういうことも含めて、選手の時に3年間トルコにいた。違う国に行くと文化の違い、色々なことに触れると思う。たくさんの経験ができ、マリノスのような大きなクラブに自分が来られたことは嬉しいこと。違った文化を見たいと思っている」とコメント。「今日まで数日しか経っていないが、周りにいる方々がおよくしてくれていて最高だ。今日で終わらないことを願っている(笑)。妻と4人の子供がいるが、彼女らも楽しんでくれると思う。
自分や家族だけでなく、マリノスにいることで色々な体験ができると思うし、最高のものを見たいと思う」と語り、日本の文化や生活にも期待を寄せていた。

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