重文角海家が倒壊 輪島市門前・黒島、再びの被災

地震で倒壊した角海家=7日、輪島市門前町黒島

 7日、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の輪島市門前町の黒島地区を訪ねると、地区の核である国重文「旧角海(かどみ)家住宅」が倒壊していた。主屋がつぶれ、土塀は見る影もなく倒れている。瓦が散乱した道路には人影がなく、荒涼としている。2007年の能登半島地震から復興を遂げた重厚な黒瓦の集落は、無残に変わり果てていた。

 黒島は江戸期、北前船主が屋敷を構え、「天領」として栄えた町である。07年の地震で被災した後、地区を挙げて町並み整備や修復を進め、09年に重伝建、16年に重文の指定を受けた。復興のシンボルとして輝いた町が再び破壊された風景は、正視できないほどに痛々しかった。

 ふと向かいの民家の張り紙が目に入った。「ゲストハウス黒島 2024年夏OPEN!」とある。重伝建を生かしたまちづくりが始まろうとする矢先の大震災に恨めしさが募った。

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