イチローさんが「日本一の球場」と表現した「ほっともっと神戸」 老朽化で改修、ふるさと納税活用へ

天然芝のグラウンドが広がる「ほっともっとフィールド神戸」((c)ORIX Buffaloes)

 プロ野球オリックスや米大リーグで活躍したイチローさんがかつて「日本一の球場」と表現した神戸市須磨区の野球場「ほっともっとフィールド神戸」。阪神・淡路大震災が起きた1995年、選手らは「がんばろうKOBE」のワッペンを着けてリーグ優勝し、翌年には同球場で日本一を達成した。現在はプロ野球の公式戦や全国高校野球選手権兵庫大会などで利用されているが、開設36年で老朽化が課題に。神戸市は、ふるさと納税を活用し、今年からベンチやブルペン、観客席の改修に乗り出す。(中島摩子)

### ■スタートは「グリーンスタジアム神戸」

 神戸市が所有し、オリックス野球クラブが運営する同球場(最大収容人数3万5千人)。1988年、神戸総合運動公園内に完成し、2000年度からは米メジャーリーグにならった「ボールパーク構想」を推進した。土の天然芝化や内野フェンスの低層化などに取り組み、美しい内外野総天然芝のグラウンドは野球ファンの人気が高い。

 球場の歴史を振り返ると、91年からオリックスの本拠地として、イチローさんや田口壮さん(現外野守備・走塁コーチ)らがグラウンドで躍動。04年の近鉄との球団合併後は、大阪との「二本拠地制」を経て08年、大阪に本拠地が移った。

 名称は「グリーンスタジアム(GS)神戸」から、ネーミングライツ(命名権)の売却で「Yahoo! BBスタジアム」(03年4月~05年3月)、「スカイマークスタジアム」(05年4月~11年2月)と変遷。現在はオリックスの“準本拠地”的な位置づけで、21年には日本シリーズ第6戦を行い、96年以来「四半世紀ぶりの神戸決戦」と話題を呼んだ。

 リーグ3連覇を果たした昨年は7試合を実施し、観客動員数の1試合平均はここ10年で最多の2万6575人を記録。球団は「兵庫県にルーツを持つ球団として、神戸での試合はとても大切に思っている」としている。

 一般利用も多く、高校や大学、社会人野球のほか、60歳以上の還暦野球の試合もあり、22年度は年間で165日利用されたという。

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 そんな長きにわたって親しまれてきた球場だが、各所で劣化が目立ち、観戦環境、利用環境ともに改善が必要に。市は24年度から数年程度をかけて、約6億円規模で改修を予定し、ふるさと納税のほか、国の交付金や市債を活用する考えだ。

 担当の市建設局公園部整備課によると、プロ野球で中継ぎ投手らが準備をするブルペンは、扉が「がたついている」といい、改修が急務。さらに、監督や選手らが試合中に座るベンチのいすが固いのも課題で「クッション性のあるものにしたい」という。

 観客席は、ファウルボールが当たってひびが入ったり、塗装がはげたりしており、新しいものに順次更新していきたい考えだ。

 ふるさと納税は「楽天ふるさと納税クラウドファンディング」といい、1月19日まで募集中。返礼品は寄付額(1万~10万円)によって10種類あり、洋菓子や神戸ビーフ、旅行クーポンなどがある。

 昨年10月20日に募集を始めると、12月6日に目標額の6千万円を突破。今月13日時点で6017人が寄付し、1億6458万円が集まっているという。

 「みなさんに応援してもらい、より魅力的な球場にしていきたい」と市担当者。球団は「賛同をいただいた皆さまに心より感謝します。ほっともっとフィールド神戸を愛してくださる皆さまの応援を力に、今シーズン、バファローズはリーグ4連覇、日本一奪還を目指して全力で戦います」とコメントしている。

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