2023年はポーパシング対策で規則が一部変更されるも「我々にはそれほど悪い点ではなかった」とレッドブルF1

 レッドブルのパフォーマンスエンジニアリング責任者を務めるベン・ウォーターハウスは、2022年にメルセデスが行ったポーパシング対策を求めるキャンペーンは、それほど問題にはならなかったと明らかにした。

 メルセデスは現代のハイブリッドエンジン時代が始まって以来、F1のトップに君臨してきたが、その支配は2022年初頭に新たな空力レギュレーションが導入されたことで、突然終わりを告げた。グラウンドエフェクト・エアロダイナミクスの復活は、メルセデスだけでなく、ポーパシング現象がこれほどの問題になると予想していなかったグリッド上の多数のチームにとって大きな頭痛の種となった。

 グラウンドエフェクトによってマシンはコースに吸い付くようになるが、コースのバンプによって負圧が失われると、ふたたび吸い寄せられるまでマシンは一時的に飛び上がる。そのためストレートではマシンが跳ねるところが目に見えるようになった。メルセデスは、振動がドライバーに有害であることから懸念をつのらせ、安全上の理由からレギュレーションの変更を求めた。

2022年F1第12戦フランスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

「2年近く前を振り返ると、新しいレギュレーションをどう理解し、どのようにすべてのパラメータを最適化するかということが重要だった」とウォーターハウスは『Racecar Engineering』に語った。

「しかし多くの不明点があった。タイヤについて何らかのことは分かっているだろう。空力マップがどうなるかということについて、考えがあるだろう。しかし実際に現実の世界で見るまでは、決して確かではない」

 レッドブルはポーパシング問題の大部分を回避できた。デザイナーのエイドリアン・ニューウェイが、前回グラウンドエフェクト・エアロダイナミクスが取り入れられた1990年代にウイリアムズで経験したことから、この問題を認識していたおかげだ。つまり2022年のレッドブルRB18は、メルセデスとフェラーリのマシンより抜きん出ており、その差は2023年には広がるばかりだった。

「RB18で1シーズンを過ごしたので、このマシンは非常に優れているが、多くの制限もあることが分かっていた。だからマシンを改善し、より優れたものにするために何をしたいかということについて、我々は非常に明確な焦点を持っていた」

「RB19は、はるかによい状況から始めることができた。初めからRB18が重すぎたことは周知の事実で、シーズンを通してある程度重量が超過したままだった。そのためRB18ではラップタイムが失われていたし、それはRB19でも見られた」

2023年F1アブダビテスト セルジオ・ペレス(レッドブル)

 メルセデスから新たな安全対策を求められてFIAが施した変更は、レッドブルにとってそれほど問題ではなかったとウォーターハウスは説明した。

「RB18には、フロアエッジが定期的に地面に接触するという問題があった。ストレーキやフロアの部品に損傷があった。我々の側からすると、このようなこと防ぐためにフロアエッジを上げることは問題にはならなかった。地面とそれほど密接に接触していなければ、空力の観点では感度の低い領域に移ることができる」

「バウンシングに関して自分たちが最悪だとは思わなかったが、フロアの接地をそれほど有効に活用していなかったのかもしれない。そのため我々にとってはそれほど悪い点ではなかった」

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