南海トラフ巨大地震が発生したら8分・最大16mの津波が予想される三重・大紀町 津波避難タワーの備えを聞いた

能登半島地震では、広い範囲で津波の被害が確認されました。三重県大紀町では、南海トラフ巨大地震が起きた場合、最大で高さ16mの津波が押し寄せると予想されています。

大紀町の「津波避難タワー」とは、どのような施設なのでしょうか。

(斉藤初音アナウンサー)
三重県大紀町錦地区の津波避難タワーから、大紀町防災安全課の小倉秀康課長と共にお伝えします。

能登半島地震では、地震発生から約1分後に津波が到達したとみられていますが、大紀町の錦地区辺りも南海トラフ巨大地震のような大きな地震が発生した場合は、約8分後に津波が到達すると予想されています。

この辺りは、住宅が密集した上に高台が少ないことから、約11年前にこの津波避難タワーが設置されました。8階建て、高さは23.8m、一時的に避難できる人数は500人ということです。

津波避難タワーの7階(高さ21m)は、屋内の避難所になっていて、靴を脱いで上がることができるエリアには、50人ほどが入ることができます。

室内には、窓があり外の様子を見ることもできます。窓から外をのぞいてみると海岸から非常に近いことがわかります。

また、災害時に情報を得るためのテレビも設置されていて、その横には無線機がああります。こちらはどのような時に使うものなんでしょうか。

(大紀町 防災安全課・小倉秀康課長)
訓練でも地域の方に使っていただいています。これは避難してきた方が役場の方に連絡をしていただくための無線機で、役場の防災安全課に繋がることになっています。

(斉藤アナ)
さらに奥へ進むと倉庫があり、備蓄もあるんですよね。

(大紀町・小倉課長)
倉庫には、毛布やタンカ、ナット、懐中電灯、ヘルメット、救急箱などがあります。

(斉藤アナ)
波がなかなか引かず、長時間ここで避難しなければならないといった場合にも対応できるように、その他にも食料や水なども備蓄されているということです。

(斉藤アナ)
向かい側のスペースには簡易的な便座やトイレットペーパーがあり、その他にも、ライフジャケットや浮き輪なども用意されています。

災害時のトイレ問題は非常に深刻ですが、こちらの津波避難タワーでは扉があり、鍵を閉めることもできるということで、プライバシーの面でも対策をとられているということですね。そして、簡易的なキッチンも用意されています。

こちらは屋内の避難所の7階ですが、タワーには屋上もあります。

64人の命が失われた80年前の「昭和東南海地震」

(斉藤アナ)
この辺りでは、予想される津波の最大の高さが16mということで、仮に大きな地震が発生した場合、津波避難タワーに来る人は、屋上を目指して逃げた方がいいですね。

(大紀町・小倉課長)
はい、テレビ情報などを見ずに大きな地震が起きた時には、とにかく屋上を目指して上がってほしいんです。

(斉藤アナ)
海抜23.8mの屋上には発電機もあります。

(大紀町・小倉課長)
停電になった時にこの発電機を動かすと、各コンセント、電気などが全て使えるようになります。

(斉藤アナ)
発電機は避難された方が、鍵を開けて利用することができるということです。

ここまで津波避難タワーの仕組みや様々な対策を見てきましたが、こういった津波避難タワーを使った防災訓練というものは、どれぐらいの頻度で行われているんでしょうか。

(大紀町・小倉課長)
年に2回以上行っております。

(斉藤アナ)
皆さんの防災意識はいかがでしょうか。

(大紀町・小倉課長)
約80年ほど前に、この錦地区において64名の尊い命が失われました。そのような地区なので、防災意識は非常に高いところです。

(斉藤アナ)
能登半島地震は、どのように受け止めましたか。

(大紀町・小倉課長)
私達は南海トラフ巨大地震を非常に心配しているところなので、今回の元日に起こった能登半島地震については教訓にさせていただくところも多かったです。私達が全く想定していなかった、元日の大きな地震・大きな津波だったので、大紀町においても、南海トラフに対してそのような想定をもう一度練り直したいと考えています。

(斉藤アナ)
お正月で帰省されている方もいたと思いますので、普段とは違う対策が求められる可能性がありますね。

お住まいの地域で、地震発生からどれぐらいの速さで津波が来るのか、どれくらいの高さなのか、日ごろから備えをしていただきたいと思います。

© CBCテレビ