中3が難関の国家試験に合格 父に憧れ猛勉強 筆記と実技を突破 得意な問題が出たが手が震え…緊張を乗り越え笑顔

 沖縄県八重瀬町立東風平中学校3年の前冨里昊(こう)大(た)さんがこのほど、中学生での取得は珍しい第二種電気工事士と危険物取扱者乙2、4、6類の国家資格試験に合格した。沖縄電力で働く父英作さん(45)に憧れて猛勉強。目標は父親と同じ会社で働くことといい「仕事で役立てる他、周囲の困った人も助けられたら」とはにかむ。(南部報道部・又吉健次)

 昊大さんは東風平小4年の時、職場体験学習で父親の勤務先を訪問。本島内の電気使用量を示す長さ15~20メートルのパネルを見て発電量の増減を指示する姿に「電気がないと生活できない。それを管理する姿がかっこ良かった」と思い返す。

 同じ仕事に就きたいと父親に相談したところ国家資格の取得を勧められ、小学生では難しいからと中2から第二種電気工事士の勉強を始めた。特殊工具の扱い方や法律、電気量の計算法について本を読んで学び、分からない点は父親に教わって知識を増やした。

 昨年5月の筆記試験を突破し、7月の実技試験は得意とする問題が出て「うれしかった」。だが、緊張で手が震え、失格すれすれなほどにケーブルを短く切ってしまうなど苦労。「何とか合格できた」と振り返る。

 第二種電気工事士は住宅の電気回りの配線工事や設計ができる資格だ。県によると、15歳以下で合格後に申請する免状取得者は2019年度以降(23年12月時点)で計6人。英作さんによると、高校生以上の取得が一般的で中学生は珍しい。

 昊大さんはその後、ガソリンや硫黄、硝酸などの危険物の消火や貯蔵法などの知識を問う危険物取扱者試験にも三つ合格した。「より難関の第一種電気工事士も年内に受験したい。もっと資格を取り仕事に生かしたい」と意欲を燃やす。

 英作さんは「毎日こつこつ勉強した成果。自分の人生を豊かにするために、いろいろなことに挑戦してほしい」と目を細めた。

(資料写真)勉強
第二種電気工事士と危険物取扱者乙2、4、6類の試験に合格した前冨里昊大さん(右)と父親の英作さん=5日、八重瀬町後原の自宅

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