着工の目前 日本最南端の温泉開発に「待った」 沖縄・竹富島の住民が反対「先人の心のよりどころである御嶽に隣接」

 沖縄・竹富島で計画中の温泉宿泊施設の開発に対し、住民が反対している。「日本最南端の竹富町の温泉ホテル」として竹富島黒潮観光(平安秀昭社長)が地鎮祭を昨年12月に実施したばかりだったが、住民らが「先人の心のよりどころ」としていた御嶽に隣接しているなどと反対を表明。動き始めたはずの開発計画に「待った」がかかっている。(八重山支局・平良孝陽)

 計画の施設は「ピースアイランド竹富島温泉(仮称)」で、27室の赤瓦ぶき平屋の宿泊棟に加え、竹富島初の温泉施設を整備する。2025年1月の開業を予定している。

 町景観計画審議会を経て昨年12月21日に地鎮祭を開いたが、住民らが反発。竹富公民館では同24日、賛否を問う臨時総会が開かれ、反対多数(165人が反対、賛成33人)に。公民館として島の意思を示した。

 これを受け、今月11日には住民らでつくる「竹富島を守る会」が今後の方針を協議。地域住民の繁栄や無病息災を願う「種子取祭」などを執り行う「真知御嶽(マーチオン)」が隣接しており「島の宝を守り抜く」とし、同施設の開発計画に断固反対と宣言した。

 守る会の阿佐伊拓会長は「竹富島憲章には、伝統的祭事行事を島民の精神的支柱として民俗芸能、地場産業を『活(い)かす』とある。島の民意としても開発計画は認められない」と指摘した。

 開発計画の事業者の平安社長は「これまで何度も説明会や審議会をして、ようやく動き出したはずだったが」と語る。予定していた部屋数を10部屋減らし、真知御嶽からも最大10メートル離したという。豊見城市が導入した入湯税を例に「島の雇用の場にもなり、温泉が自治体の新たな税収につながる可能性を秘めている」と理解を求めている。

温泉施設の開発計画に反対し、ガンバロー三唱で気勢を上げる集会の参加者ら=11日、竹富町竹富

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