学生新体操Vの岩渕さん、夢の「シルク・ドゥ・ソレイユ」合格 4月のラスベガス公演で合流

壮行会で新体操の演技を披露する岩渕緒久斗さん=尼崎西高校

 世界的な人気を誇るカナダのサーカス劇団「シルク・ドゥ・ソレイユ」のオーディションに、兵庫県尼崎市出身で青森大学4年の岩渕緒久斗(おくと)さん(22)が合格した。9歳から新体操を続け、入団を夢見て技を磨いてきた。4月から米ラスベガスの定期公演に合流する予定で、岩渕さんは「プロとして観客の心を動かせるようなパフォーマーになりたい」と目を輝かせる。(地道優樹)

 岩渕さんは「バック転がしたい」と尼崎市立成文小学校4年生の時に新体操を始めた。尼崎西高校では新体操部に所属し、全国高校総体で2度3位になった。

 新体操の名門・青森大に進み、2021年には全日本学生新体操選手権大会で個人総合優勝。23年にも準優勝を果たした。身長は171センチで大柄ではないが、「誰よりも大きく、しなやかに動けるのが強み。極限まで体を引き伸ばし、踏み込みを大きくするよう意識している」と話す。

 「-ソレイユ」は人間の限界に挑戦したパフォーマンスで知られ、世界各地で公演。日本では1992年から続けている。岩渕さんは中学生の頃に初めてテレビで見たといい、ダンスや大道芸など多分野のパフォーマーの「極められた芸」に衝撃を受けた。はるか遠い「夢の舞台」と思っていたが、高校時代、日本公演で生の舞台を観賞し、「このステージに立って自分も感動を与えたい」と思いを強めたという。

 オーディションを受けたのは昨年8月。オンラインで履歴書や演技の映像などを送り、9月末にメールで合格を知らされた。「トップパフォーマーが何度も落ちる狭き門。夢なんじゃないかって頭が真っ白になりました」と振り返る。今年3月から米国に移住し、定期公演「マイケル・ジャクソンONE」に参加する予定だ。

 渡米を前に、母校の尼崎西高校では6日に壮行会が開かれた。同校で岩渕さんの担任だった田中悠子教諭や新体操部で顧問だった大江誠さんらが企画し、岩渕さんの友人や地元住民ら約100人が集まった。

 岩渕さんは音楽に合わせて演技を披露。宙返りなどのアクロバティックな技を次々と繰り出し、大きな拍手が送られた。岩渕さんは「僕が新体操を続けてこられたのは、これまでたくさんの人に支えていただいたおかげ」と感謝し、「常に目標を持ちながら挑戦しつつ、自分を磨いて精進していきたい」と力強く語った。

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