洋画家・早川義孝さん作品展 幻想的な心象風景描く しもだて美術館 3月10日まで

早川義孝さんが長年主題としたサーカスを描いた「月とサーカス」=筑西市丙

幻想的な心象風景を描いた洋画家、早川義孝さん(1936~2012年)の作品を紹介する企画展「色彩のシンフォニー」が13日、茨城県筑西市丙のしもだて美術館で始まった。代表的なシンドバッドの船やサーカスをはじめ、鳥や魚などを詩的な感性で色鮮やかに描いた86点がそろう。

千葉県柏市を中心に活動し、高校時代には全日本学生油絵コンクールで最高賞の文部大臣奨励賞を2年連続で受賞。美術団体・新槐樹社の公募展で内閣総理大臣賞に輝くなど活躍した。

企画展は、同館の開館20周年記念事業。2007年の企画展をきっかけとして、22年に早川さんの遺族から寄贈を受けた73点の作品を中心に展示する。

晩年の作品「月とサーカス」は、早川さんが長年主題としたサーカスが描かれた1枚。以前よりもサーカスの形や描線が明確になるなど、より洗練された印象を受ける。

シンドバッドの船と灯台が目を引く「太陽の航海」は、赤の色彩が鮮やかな作品。シンドバッドが登場するアラビアンナイトを題材にした、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」から着想した。早川さんはクラシック音楽を愛し、朝から晩まで聞き続けたという。

このほか鳥や魚、チョウ、教会などを主題とした作品が並ぶ。同館学芸員の篠木崇史さんは「かわいらしいモチーフがたくさん描かれている。そこから早川さんの魅力を知ってほしい」と強調。筑西市内の風景を描いた「筑西八景連作」も見どころの一つとした。

会期は3月10日まで。問い合わせは同館(電)0296(23)1601。

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