ノリスのレッドブル移籍の噂について、元F1ドライバーが自論「リスクに見合う価値があるとは思わない」

 元F1ドライバーで現在コメンテーター兼アナリストを務めるジョニー・ハーバートは、ランド・ノリスに対し、将来マクラーレンからレッドブルへ移籍することはF1でのキャリアを危うくする可能性があると語った。

 セルジオ・ペレスは2024年シーズン末までレッドブルとの契約があるが、パフォーマンスが振るわなかった場合はダニエル・リカルドにシートを奪われる可能性がある。一方で、ノリスは現在、マクラーレンに2025年末まで留まる予定だ。

 ハーバートは、レッドブルは常にマックス・フェルスタッペンをどのチームメイトよりも優先しており、ノリスはマクラーレンで5年間受けてきたのと同じレベルのサポートは期待できないだろうと感じている。だがハーバートの元F1ドライバー仲間であり、『Sky Sports F1』の同僚だったマーティン・ブランドルは、ノリスはレッドブルのシートが空いたときに備え、将来の選択肢をオープンにしておくべきだと語っていた。

2023年F1第17戦日本GPレース後会見 ランド・ノリス(マクラーレン)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 しかしハーバートはブランドルの意見には同意しておらず、マクラーレンが驚異的にランキングを上げているときに、ノリスがチームを去るのは賢明ではないと考えている。

「ドライバーの視点だけから考えたら、何が自分の利益になるか常に考えようとするだろう」とハーバートは今週イギリスのタブロイド紙『Express Sport』に語った。

「彼が置かれている状況のなかで、レッドブルへ行くことのリスクはそれだけの価値があるだろうか?」

「マクラーレンは非常によくやっている。マクラーレンはチームにいる彼を気に入っている。マシンが正常に機能していれば、彼は結果を出す」

「個人的に(レッドブルへ行くことは)リスクに見合う価値があるとは思わない。今の時点で非常に素晴らしい状況があるのに、なぜ彼が人生をもう少し難しいものにしたいのか、私には分からない」

「もちろん、様子を見るしかないだろう。彼はまだ若いし、これからもよくなっていくだろう。彼はまだ向上していく」

「今のところ、マクラーレンは非常に素晴らしい軌道に乗っており、来年はさらに強力なポジションにつけるかもしれない」

2023年F1第21戦サンパウロGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を追うランド・ノリス(マクラーレン)

 マクラーレンにおけるこれまでの年月で、ノリスはカルロス・サインツと組んだルーキーシーズンと2シーズン目に競争力のあるパフォーマンスを発揮して地位を確立し、2021年から2022年はリカルドを完全に上回った。しかしノリスは、2023年はオスカー・ピアストリという、もうひとりのF1の若手とのより厳しい競争に直面した。今後のマクラーレンでの状況は、彼にとってますます厳しいものになることが示されている。

 こうした課題は、マクラーレンがパフォーマンスを大幅に改善する機会と密接に関連していく。2023年シーズンのスタートは期待外れなものだったが、チームはオーストリアGP後のアップグレードによって改善。ノリスとピアストリは今シーズンはチームに残留し、レッドブルを視野に入れながらも、新シーズンに同じ勢いを維持することを望んでいる。

2023年F1第17戦日本GP 3位オスカー・ピアストリ&2位ランド・ノリス(マクラーレン)

© 株式会社三栄