『魔女の宅急便』作者が明かす “物語誕生秘話”  苦労したブラジル生活で「窓を開けたら…」

古今東西の名物講師が登場し自ら“使える学問”を講義する『世界一受けたい授業』が1月13日に放送された。『「魔女の宅急便」作者が明かす物語の誕生秘話』という講義では、スタジオジブリによって映画化もされた大ヒット児童文学作品『魔女の宅急便』の作者・角野栄子氏が、名作の誕生秘話を語った。

『魔女の宅急便』は発売から40年以上が経ち、スウェーデンやフランスなど15カ国以上で翻訳出版され、世界中で大人気の作品。ジブリ映画の他にも実写映画化やミュージカルとして舞台化もされ、世代や国を超えて愛され続けている。

35歳で児童文学作家としてデビューして以来、54年にわたり創作し続けている角野氏は、自身の代表作について「その主人公を私は大好きなわけよね、一緒に歩いていくわけ。一緒に面白いことに出会うわけ。半歩くらい後ろを私が歩いてる。それを追いかけながら書いてるって感じ」と語った。

角野氏は『魔女の宅急便』の創作に影響を与えたエピソードとして、自身が若い頃に過ごしたブラジルでの経験を明かし、外の世界を見てみたいと海を渡ったものの言葉の壁などに苦労したことを語った。それでも「窓を開けたらスーッと風が入ってきたのね。それでなんかすごく良い気持ちで、この国で生きていけるなって思った。不思議な感覚だった」と窓から吹き抜けた風に勇気をもらったそうで、ジブリ映画のなかでも、13歳の主人公・キキが両親のもとを離れ修行の旅に出るシーンで、キキがほうきで飛び立つ際に風を受ける場面が特にお気に入りなのだという。

角野氏のエピソードを受けて、俳優の風間俊介は「やっぱり僕もオープニングのタイトルが出てくる瞬間っていうのがすごく好きで、ラジオでジジに曲をかけてと言って、ジジが“カン!”ってやった瞬間に『ルージュの伝言』が流れるじゃないですか。あれって普通、挿入歌ってキャラクターには聞こえてないことが多いんだけど、あの瞬間だけ、見ているお客さんとあの旅をするキキとジジが同じ曲を共有するっていう、あの瞬間が大好きなんですよね」とコメントした。

1985年に単行本として発売された『魔女の宅急便』。その後スタジオジブリから映画化の依頼が舞い込む。実は映画と原作では内容の異なる描写も多く、映画に登場する『ニシンのパイ』や、キキと黒猫のジジが話せなくなるシーンは、宮﨑駿監督が新たに付け加えたシーンだと角野氏は明かすと、スタジオからは驚きの声があがった。

89歳になった今でも創作活動を続ける角野氏は、『自分が本当に好きな本だけを並べる本棚』を作ることが人生を豊かにするヒントだと語り、読書の大切さを強調。講義の締めくくりとして、今を生きる子どもたちに向けて「やっぱり自分の言葉を持って自分を表現するってことは、これから大事なんじゃないかなって思います。だからね、皆さん本を読んでください!」とメッセージを送った。

【TVer】最新話を無料配信中!

写真提供:(C)日テレ

© 株式会社 日テレ アックスオン