新井カープ 下馬評を覆す躍進 指揮官と参謀に迫る「5つの真相」【2】

指揮官と参謀に迫る5つの真相。続いては「コミュニケーション」。

チームを「家族」と表現して船出した新井カープ。

■新井監督

「カープという大きな家の中にお前たちがいる。家族同然だと思っている。カープという家の中にみんなで一緒に住んでみんなで切磋琢磨してがんばろう」

就任時から2人が大切にしてきたのがコミュニケーションだった。キャンプからベテラン・若手関係なく、積極的に対話を重ね、自分の意見を伝えるだけでなく選手の考えにも耳を傾けた。シーズンに入ると練習での会話はもちろん、試合中も登板が終わった投手を中心に積極的に会話をする姿が見られた。

そのコミュニケーションに救われたと話すのが栗林。2023年シーズンは開幕からの不調に怪我も重なり、プロ初の2軍を経験。シーズン中のインタビューでこんなことを口にしていた。

Q.うまく結果が出ない時に精神面を支えてくれたものとは

■栗林良吏投手

やっぱり1番は新井さんがずっとコミュニケーションを取ってくれて会話してくれましたし、良い日もあれば悪い日もあるっていうこともあって、 ひとつひとつに一喜一憂しすぎずにやることが大事。自分が結果が出ない時に弱気になる気持ちもあるけど、自分しか変えられないところが絶対あると思うから、何か自分できっかけをつがめるように気持ちだけは強い気持ちを持ってやっていこうってことはずっと言われてました。(2軍に)落ちる時に、新井さんに「戻ってくるところは9回」っていうのを行っていただいて2軍に落ちたのでそこを目指してずっと練習はしてました。

シーズン終盤に再び守護心の座に戻った栗林。新井監督の言葉を支えに復活を遂げ た。

■新井監督

栗林は本当に苦しかったと思うんですよね。3年目のシーズンで初めて壁に当たって、WBCで怪我もあって。本人もちょっと手探りな状態でスタートして。そういった中で状態もなかなか上がらずに。自分としてはやっぱり抑えは栗林だってヘッドにも言ってましたけど。カープの抑えは栗林なんだっていうのがあったので、この壁を最終的に乗り越えるのはやっぱ自分自身なので、乗り越えてみろっていう気持ちで、失敗しても彼に託したんですけどもね。ただもう少し早く、楽にじゃないけど、もう少し早く再調整させてあげた方が良かったのかなと。そこはちょっと反省してますね。

■藤井ヘッドコーチ

抑えとしては仕方ない部分もあんのかなっていうのは正直あった。そこも仕事やっていう風に捉えて乗り越えないとっていうのがあったよね。

■新井監督

なかなか簡単に代えるところではないし、4番にしても抑えにしてもやっぱチームの柱となるポジションっていうのは簡単に変えるところじゃなっていう風にあったし。自分も打者で4番を経験してるんで。この苦しんでる、初めて来た壁を乗り越えると、またさらに新しい強い栗林が強い栗林になれると思って起用したけど、もうちょっと早く楽にさせてあげた方が良かったかなとは思うな

5月からプロ初の2軍調整となった栗林。再び9回のポジションに戻すタイミングについて、2人には強い葛藤があった。

■藤井コーチ

悩んだよな

■新井監督

うん悩んだ

■藤井コーチ

けっこう前半戦すごい苦しんだと思うんで。いろんな意見もありますし、コーチにも相談しながら、最終的には監督が決断するんですけど一番難しかった。

■新井監督

うん難しかったね。最初はね、矢崎も頑張ってくれてたので、栗林をどういう風な場面で使おうかっヘッドと相談しながら。そこ間違えてしまうと、また状態が落ちてしまうかもしれないっていう、起用する難しさがね。矢崎も頑張ってくれてるし。栗林が戻ってきました、またすぐ1番プレッシャーのかかるところに戻して、またメンタル的な状態が落ちてしまう。そこはすごい気を使ったよな。

■藤井コーチ

僕がストレートを見た時にもう完全に戻ってるなと。矢崎も疲れて、ちょっと落ちてきてるかなっていう時やったんで、このタイミングを見計らって。けっこう「どうしようか」って(監督と)よく言ってたと思うんですよね。「この日から」っていうのを。でも1番最後のストッパーって1番神経使うところなんで。

■新井監督

もう少し時間かかるのかなとは思ってたけどね。よく戻ってきて今シーズン中に立て直してくれたなと思いますね。

《 続いて2人に迫る真相は「選手の長所を生かす」》

© 広島テレビ放送株式会社