新井カープ 下馬評を覆す躍進 指揮官と参謀に迫る「5つの真相」【3】

続いて2人に迫る真相は「選手の長所を生かす」。

2023年シーズンは代打の松山、代走の羽月や曽根をはじめ、選手のストロングポイントを最大限に生かす起用が際立った。守りでは3年目の矢野が球界屈指の守備力を生かし、終盤から出場した試合で幾度となくチームの勝利に貢献した。

投手では同じく3年目の大道がピンチでの強さを発揮。イニング途中のランナーを置いた場面での登板でも、持ち前の気持ちの強さでチームを救った。さらに驚きの選手起用も。通算3HRの上本をプロ初の4番で起用。送りバントや進塁打など何でもできる武器を生かした新たな4番像を見出し、4年ぶりの10連勝の大きな要因となった。

そして長所を生かす指導で飛躍を遂げた選手もいる。球団初となる最優秀中継のタイトルを獲得した島内。2022年シーズンはコントロールに苦しんでいた中、今年は大きく改善。そこには首脳陣のある方針があった。

■島内颯太郎投手

今年はキャンプの時に首脳陣の方々からキャッチャーにコースを構えてもらうんじゃなくて、ど真ん中に構えてもらって甘いところでもいいから自分のボールを投げていこうということで話していって、それがすごい僕の中でも納得してこのシーズンを迎えられた。

コースを狙わず最速157kmのボールをいかす方針で覚醒し球団最多タイの42ホールドポイントをマークした。末包も長所を生かす言葉で飛躍を遂げた1人。持ち味の長打力を磨くための声をかけられていた。

■末包昇大選手

ボール球振ってもいいし、まっすぐを詰まってもいいから大きい当たりを打つためのスイングをしなさいっていうことですね。自分の中で結果求めて小さくなるんじゃなくて、自分が求められていることっていうのをしっかりと考えてやりなさいって言わました。

シーズン終盤にブレイクを果たし、自身初の2桁ホームランをマーク。チーム待望の和製大砲として大器の片鱗を見せた。

■藤井コーチ

器用な子が多い、でも長所と短所を持ってる子が多いのかな。だからそこで打線であったり守備の面でもいろんなバリエーションでやらせてもらったけど。器用な反面、不器用なところを持ってるのかな。なのでいろんなバリエーションというか、「こうした方がいいんかな」とかいうのになったのかな。

■新井監督

全員が鈴木誠也じゃないから。全員が鈴木誠也だったら全員メジャー行くしね。自分たちが若い時もそうだったけど、何かと短所というか不得意な部分を「こうしていきなさい」みたいな感じのことが多かったけど、それよりスエ(末包)だったらね、何が1番長所か。1番ボールを遠くに飛ばせるところ、羽月だったら足が速いところ、矢野だったら守備がうまいところ、その場所場所のスペシャリストっていうのを作っていけば、またその選手も自分の居場所というかね、そこを見つけていけるし。それでそういう起用をしていったら、またチームも全員で戦ってるってね。

《 4つ目の真相は、激闘のクライマックスシリーズ 》

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