自殺未遂者支援 医療対策を模索 筑波大の太刀川教授講演 茨城・水戸

自殺未遂者の医療体制について講演する筑波大災害・地域精神医学教授の太刀川弘和氏=水戸市笠原町

精神保健思想の普及啓発の一環として茨城県精神保健協会(池田八郎会長)は、同県水戸市笠原町の県メディカルセンターで自殺対策をテーマに講演会を開いた。昨年4月に筑波大付属病院に設置された「精神医療・自殺対策連携センター」部長で同大災害・地域精神医学教授の太刀川弘和氏が「茨城県の自殺未遂者への医療対策について」と題し、講演。保健師や看護師など約60人が、自殺未遂者への医療対策の課題と、今後の対応の在り方を考えた。

太刀川氏は全国と茨城県の自殺者数の推移、男女や年齢層、職業別などによる傾向に触れ、自殺者のうち15%に自殺未遂歴があることを説明。国の自殺対策について「1970年代から福祉や保健、メンタルヘルスで始まり、80年代に自殺未遂者支援と精神保健福祉となった。90年代はうつ病対策が主で、2000年代に福祉や社会問題として捉えるようになった」などと経緯に触れた。

自殺企図者の診療体制は、「できるだけ情報収集し、精神科医により危険性を確認し、継続支援が必要かを判断する流れが理想的」と指摘した。「こころのホットライン」や情報通信技術(ICT)を活用した相談体制強化など県の自殺対策に加え、「精神医療・自殺対策連携センター」を紹介。「急ピッチで自殺未遂者支援の体制を構築しようと努力している」と話した。

その上で、「自殺予防は人ごとではなく、みんなが関与できるもの。支援医療体制を作るために協力してほしい」と呼びかけた。

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