出産設備充実へ資金募る 龍ケ崎済生会病院がクラウドファンディング 茨城

クラウドファンディングの協力を呼びかける小倉剛部長(右)ら=龍ケ崎市中里

■家族待機スペースも

安心安全の出産環境を整えようと、龍ケ崎済生会病院(茨城県龍ケ崎市中里)が陣痛時の待機や分娩(ぶんべん)などを行う「LDR室」の整備に向け、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。目標金額は1000万円。出産設備を充実させることによって地域の子育て環境の維持にもつなげていきたい考えだ。

同病院は2001年に開院。設立から20年以上たち、産科病棟全体が老朽化していることから、全面的な改修を行っている。より安心かつ快適な出産ができる設備を整えようと広く呼びかけ、CFに乗り出した。

LDRとは、Labor(陣痛)、Delivery(分娩)、Recovery(回復)に頭文字を取ったもので、陣痛から出産、その後の回復までを1カ所で行える。

同病院にはこれまで相部屋の陣痛室と分娩室があり、出産後は病室に戻っていた。今回整備予定のLDR室は2部屋で、広さはともに約23平方メートル。各部屋1人利用で、分娩設備のほか付き添いの家族が待機できるソファなども用意される。陣痛室と分娩室を統合したことで部屋を渡り歩く負担を軽減できるほか、家族の待機スペースもあるため、パートナーや子どもが出産を見守ることができる。

加えて、LDR室の整備には地域の医療を守るという意味もある。

同病院は龍ケ崎市だけでなく、同県の稲敷市や河内町などからも妊婦を受け入れている。一方で出産件数は、2013年は475件だったのに対し、22年は196件と右肩下がりの状態になっている。このまま減少していけば産科の維持自体が難しくなるという。

ハード面を見直すことで出産件数の増加につなげ、地域を支える産科を維持していきたい考えだ。

病院入り口には寄付状況を報告するコーナーも設置。現在の寄付額や残り日数を掲示しているほか、CFのサイトに寄せられた支援者のコメントを紹介している。

同病院産婦人科の小倉剛部長は「地域のお産を守り、産みやすい育てやすいまちづくりに協力していきたい」と話している。

期間は31日まで。詳細は同CFのサイトhttps://readyfor.jp/projects/ryugasaki-saiseikai

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