昔ながら まき使い「初窯たき」 波佐見・治甫窯

まきをくべる立井さん=波佐見町、治甫窯

 長崎県東彼波佐見町稗木場郷の治甫(じすけ)窯で12日から14日にかけて、初窯たきがあった。まきをくべ、時間をかけて窯の温度を上げる、昔ながらの穴窯で焼成した。
 波佐見焼の多くの窯元では、温度を自動制御できるガスや電気を使い、品質を安定させている。治甫窯も普段はガスを使っている。
 同窯のそばには豊臣秀吉の朝鮮出兵の後、陶工を招き、波佐見焼の誕生に貢献したとされる富永治助の墓所がある。同窯代表の立井清人さん(76)は治助の1月14日の命日にちなみ、1994年の開窯以来、初窯たきにまきを使用。窯の中での灰や煙、炎の当たり方によって、器の色や光沢、形に違いが出るという。
 12日正午からまきを投入。立井さんの陶芸教室の生徒も加わり、14日未明に終えた。立井さんは「採算が合わないが、まきで焼くのは焼き物本来の姿。規格が統一された『商品』ではなく、1点1点表情が異なる『作品』。人をひきつけるものがある」と話した。
 21日に窯出し、販売する

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