「清水いちご」が「幻のイチゴ」と呼ばれるワケ 明石・魚住町の名産 食べ頃迎え、今年も真っ赤に

完熟してから摘み取られる清水いちご=明石市魚住町清水

 完熟後に摘み取り甘みが濃厚な兵庫県明石市魚住町の名産品「清水いちご」の収穫が本格化している。一番の食べ頃を迎えた真っ赤なイチゴが、農園やJAの直売所に並ぶ。(有冨晴貴)

 橋本農園(魚住町清水)は4品種の計約3万5千株を育てる。本来春に実を付けるイチゴを冬に収穫するため、ビニールハウスで促成栽培している。

 代表の橋本竜介さん(44)によると、今シーズンは一年を通して気温が高かったため、例年より20日ほど収穫が遅くなっている。ただ、冬の気温も高いため、冷害がほとんどなかった。同農園ではゆっくりと熟させて甘くするため、ほとんどのハウスでヒーターを使用していない。

 清水いちごの特徴は、実が完全に熟した食べ頃で摘み取る「赤ちぎり」をしていること。通常は完熟前に摘み取り、輸送中に追熟させ、消費者の手に届くころに実が赤くなるようにしている。しかし橋本さんによると、イチゴの甘さは摘み取った時点からほとんど変わらないため、完熟してから収穫した方が甘くなるという。

 一方、赤ちぎりには完熟した実が傷みやすく、長距離の輸送に向かないという問題もある。そのため魚住町を中心とした限られた地域でしか手に入らず、「幻のイチゴ」とも呼ばれる。

 橋本さんは「今年は例年と比べてもよくできていると思う。このあたりまで足を運んでもらわないといけないが、ぜひ味わってほしい」と話している。

 同農園での直売のほか、JA兵庫南の直販所「ふぁーみんショップ魚住」(魚住町錦が丘)などで買える。JA兵庫南明石播磨営農経済センターTEL078.948.5380

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