避難所生活、認知症悪化も 東日本大震災後の実態調査で

「認知症の人と家族のための避難所での支援ガイド」

 能登半島地震の被災地では多くの高齢者が避難所生活を送る。東日本大震災後の実態調査では、避難所で認知症の症状が現れるケースが多く報告された。専門家は、認知症の人は急激な環境の変化に弱く、避難所生活が症状の悪化を招く恐れがあるとして配慮を求めるとともに、対応をまとめた「認知症の人と家族のための避難所での支援ガイド」の活用を呼びかけている。

 認知症介護研究・研修仙台センター(仙台市)による2012年の実態調査。東日本大震災で支援にあたった介護支援事業所や行政担当者から514件の回答を得た。

 その結果、避難所では、イライラして落ち着かない様子や、徘徊、帰宅願望など、多くの認知症の症状が確認されていた。中には地震があったことを忘れてしまう人もいたという。介護する人の疲弊も深刻だった。

 加藤伸司センター長は「こうした症状が多発したのは、認知症が進行したのが一因の可能性がある」と指摘する。支援者側が感じる認知症の人が避難所で過ごせる限界は、1~3日との回答が7割を占めた。平均は3.11日だった。

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