海底隆起により船が出せない石川県輪島漁港 漁業ができなくなった被災地を取材班が歩く

能登半島地震発生から2週間が経ちました。大規模な火災が起きた石川県輪島市の港では海底が隆起し、漁業への影響が深刻となっています。

静岡朝日テレビ 梅田航平 石川・輪島市 14日
「輪島港です。海底隆起により船を出すのに必要な水位が足りなくなっていて、こちらの船は、飛び降りないと乗れない状況」

海に浮かんでいるのに、大きく傾いた漁船。

海底が隆起し、船底が座礁しているためです。

地元漁師:
「(底が)浅すぎて船が浮いとらん」

Qこの状況だと漁には?

「出られない 」

たとえ漁に出られたとしても、港の電気が止まっているため、魚を保管する冷凍庫は使えません。

Q何の作業をしている?

女性:
「出荷できないカキが成長してきて、棚自体が重くなってブイも沈んできている。ブイを追加して出荷できるように棚を浮かせる作業」

こう話すのは、家業のカキの養殖業を継いで5年になる、漁師の浅井絢美さんです。

幸いカキ漁に使う船は無事だったため、養殖場の復旧作業をしながら、少しづつ出荷を進めています。

浅井さんが育てた養殖のカキは、地震の影響をほとんど受けなかったため、棚を修理すれば出荷することができるといいます。しかし・・・

浅井さん:
「物流が復旧して、私たちが出荷できるようになっても、この状態だと私たちも出荷する先がないので、それも不安の一つではあります。」

不安が募る中、浅井さんの希望となっているのが…

普段は魚をとっている漁師たちです。

船を出すことができなくなったかわりに、浅井さんの仕事を手伝っています。

漁師:
「もう10年だめやろな…10年お願いします」

浅井さん:
「うん。もうずっとおって(笑)」

漁師:
「でもそういうわけに行かないもんな…」

亡くなった父の後を継いで漁師になったとき、支えてくれたのは、地元の人たちでした。

浅井さん:
「自分がもし船が出せなくなって漁ができなくなるって想像したら、本当に言葉にできないので、自分ができることはしたいですね。」

発災から15日で2週間となった能登半島地震。

午後2時の時点で死者は222人、安否不明者が22人。

そして、災害関連死は14人となっています。

© 静岡朝日テレビ