「袴田巖さんをもうすぐ死刑台から取り戻す」年賀状に判決への思いつづる “袴田事件”弁護団長の西嶋勝彦さん(82)死去

死刑が確定しながら現在、やり直し裁判が行わている袴田巖さんの弁護に30年以上携わり、弁護団長も務めていた西嶋勝彦さん(82)が1月7日に亡くなっていたことが分かりました。

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<袴田事件弁護団 西嶋勝彦弁護団長>
(検察の抗告断念を受けての記者会見・2023年3月20日)
「袴田さんの50年以上にわたる願いが叶った。ただ再審公判が残っております。一日も早く再審公判で巖さんの無実を明らかにしたい」

2023年3月20日、検察の抗告断念によって袴田巖さん(87)の裁判のやり直しが確定し、西嶋勝彦弁護団長は人目をはばからず、涙を流しました。

1965年に弁護士になった西嶋さん。主に死刑事件を担当し、静岡県島田市で6歳の女の子を殺害したとして死刑が確定したのちに、再審無罪となった「島田事件」など多くの冤罪事件を弁護しました。「袴田事件」の弁護団に加わったのは今から34年前。2004年からは弁護団長を務めました。4年ほど前からは間質性肺炎を患い、1月7日、自宅のトイレで倒れているのを家族が見つけましたが、帰らぬ人となりました。82歳でした。

亡くなる2日前に行われた弁護団会議にも、いつもと変わらず、指揮を執る西嶋さんの姿がありました。西嶋さんが亡くなったことを受けて、袴田さんの姉のひで子さんは…。

<袴田巖さんの姉・ひで子さん(90)>
「本当に長い裁判ですから、長い間ごくろうさまでした。ありがとうございます。もうこれしか言うことはないですけれど、無罪判決を聞いていただきたかった」

袴田さんを支援する山崎俊樹さんの元に届いた年賀状には、早ければ2024年夏にも言い渡される見込みの判決についての思いがつづられていました。

「袴田巖さんをもうすぐ死刑台から取り戻す」

<袴田さんを支援 山崎俊樹さん>
「自分が果たすべき役割を今年やっと果たし終わることができるという気持ちがあったのかと思う。それを最後まで見届けられなかったのが残念」

袴田さんのやり直し裁判の審理は、2024年5月に終了する見通しで、弁護団の最終弁論を西嶋さんが述べる予定だったということです。

「春が来る袴田姉弟 雪冤だ」「小春日に駿河路通い車椅子」

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