【忘れ物や時間を間違えることも】「みんなが簡単にできることができない」 悩んだママが心療内科で診断されたのは「ADHDグレー」だった

発達障害にはADHDやLD、ASDなどがあり、文科省の発表によると通常学級に在籍する小中学生の8.8%に発達障害の可能性があるとされています。しかし、発達障害は子どもだけの問題ではなく、大人にも同じように発達障害をもつ人もいます。

はなゆい(@hanayuistudio)さんは「ADHDグレー」と診断された経緯を、X(旧Twitter)上で漫画にして発信しています。

『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』 (はちみつコミックエッセイ) (@hanayuistudioさんより提供)

2024年1月にはADHDグレーと診断されるまでの経緯を赤裸々に描いた『だたのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』(はちみつコミックエッセイ)の書籍が発売予定です。

今回は、はなゆいさんに「ADHDグレー」について話を聞きました。

ADHDグレーの特徴とは

ーADHDグレーとはどういった特徴があるのでしょうか?
ADHDの診断する際に確立された医学的検査はなくて、困りごとが社会的に悪影響を及ぼしていることが一つの判断基準になります。
アメリカ精神医学会が発行する診断ツールDSM-5では、困りごとの症状9個中4個以下だとグレー(特徴がある)とみなされます(5個以上でADHD)。ADHDの大きな3つの特徴は、不注意、多動性、衝動性とされています。

ー子どもの頃からみんなが簡単にできることができずにいたとありますが、具体的にどのようなことが難しく感じましたか?
しょっちゅう忘れ物をしてこっそり家に取りに帰ったり、何度も確認したにもかかわらず、高校受験の時間をなぜか間違えて遅刻したり…。
また、約束の集合場所を間違える、尋常でないくらい誤字、脱字をしてしまうなど、振り返れば「なぜできなかったんだろう、もっと気をつけないと」と思うことが多かったです。

ーみんなが簡単にできることができないと感じたときの心境について教えてください。
上記のようなことが繰り返し起こってくると、先生からはやる気のない生徒と認識され、友人からは「天然」と言われ、自己肯定感が低下していたんだろうと思います。それでも周りの人と同じように「普通」でいたいので、常に「普通」はどうするのだろう「普通」に見られるにはなんて返事をすればいいのか…と、周りの顔色を伺うことが多くなっていました。

ADHDグレーと診断されて

『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』 (はちみつコミックエッセイ) (@hanayuistudioさんより提供)

ー思い切ってメンタルクリニックの門をたたいたとありますが、受診するまでどういったお気持ちでしたか?
メンタルクリニックに行くということはなんとなく大袈裟と感じていました。自分の困りごともひとつずつはとても些細なことで、誰にでも起こることだとも思います。それでもそういった自分のぽんこつミスやうっかりが積み重なり、友人からメンタルクリニックを受診することは特別なことじゃないよとすすめられたことで、ドキドキしながら受診しました。

ーADHDグレーだと診断されたとき、どう思われましたか?
クリニックでの診察を通して、白黒はっきりさせることよりも、自分のうっかりミス、勘違いなどによる困りごとの対策が重要と理解するようになりました。

ーご家族は診断結果についてどう話されていましたか?
家族は「そういうことか!」とこれまでの私の言動について合点がいったようです。心理検査で4つの能力(知覚推理、ワーキングメモリ、言語能力、処理速度)を分析していきます。このなかで私は得意と不得意の差が大きいということが分かり、いつものぼんやりミスだけでなく、時々ウソみたいな鋭い指摘や発想を繰り出す謎が解けたと喜んでいました。

ーADHDグレーだと診断され、心境の変化などはありましたか?
診断の過程で、誤字脱字が多くないですか、約束の場所や時間を勘違いしませんか、やっていることを邪魔されてカッとなりませんか、人の話に被せて話してしまいませんか…などなど、自分の個性(?)だと思っていたことが「ADHDあるある」だということが分かりました。拍子抜けした気持ちとともに個性強いタイプと思っていた分(笑)、若干寂しいみたいな複雑な思いでした。

本の出版への思い

『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』 (はちみつコミックエッセイ) (@hanayuistudioさんより提供)

ー今回本を出版するにあたり、どのような思いで執筆されましたか?
きっかけは書籍のプロローグに描写しているのですが、娘が私と同じタイプなのではないか、そうだった時に私は娘にこれまで自分が言われてきたように「なぜもっと確認してやらないの、注意しないの」と言うのだろうか、でもどうやって注意すればいいかはこれまで学ばずに来てしまった。私が自分のトリセツを作る過程で、娘の良き理解者になることができるのではないか、また同様な課題を抱えている方々に自分の失敗談が役立つかもしれないと思い、執筆しました。

ー本についてどういった方に読んでもらいたいですか?
日常生活でささいなうっかりミスや勘違いが多いとおもっている方、ミスした自分を責めてしまっている方などに是非読んで頂きたいです。私は人より得意、不得意の差が大きいことが分かりました。それによって生きづらさを感じている部分もありますが、何が不得意かを認識することで一定のライフハックで改善できることもありますし、そんな自分を受け入れる過程や、私の笑える(?)ぽんこつ失敗談を見て頂きたいです。

大人の発達障害は気づきにくいといわれています。しかし、体の不調と同様に何か困ったなということがあれば、専門機関に相談してみるのもいいのかもしれません。

ほ・とせなNEWS編集部

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