「政治家にならないほうがいい」…自民派閥裏金事件で神奈川の党員、支持者は何思う

自民党の「政治とカネ」の問題に対し、政治刷新本部の最高顧問に就いた菅前首相のお膝元からも厳しい声が聞かれた=11日、横浜橋通商店街

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、党が新設した「政治刷新本部」の議論の行方を、神奈川県内の党員や支持者が注視している。繰り返される「政治とカネ」の問題に、自浄能力を発揮することができるのか。最高顧問の菅義偉前首相(衆院神奈川2区)らメンバーに選ばれた県内選出議員に期待もしつつ、党の本気度を見極めようとしている。
 
 「怒りと冷ややかな感情の中間。『何をやっているんだ』という思い」

 現職議員の逮捕にまで発展した一連の問題に、党員の水野次郎さん(92)=横浜市港北区=はあきれる。「収支報告書にきちんと記載すれば済んだ話で、民間なら当たり前。基本的なことができないのなら、政治家にならないほうがいい」

 長年、地域のために汗を流す議員を見てきた。「政治は金がかかる」との主張も否定しない。ただ、気掛かりなのは、政治改革の気風が薄れていると感じられることだ。1988年に発覚したリクルート事件で政治不信が渦巻いた時、若手議員らから改革を求める声が上がり、「政治改革大綱」では派閥の解消がうたわれた。

 だが今は、検察の捜査を言い訳に説明責任を果たそうとしない姿が目に付く。水野さんはくぎを刺す。「だんまり戦術で逃れようとするのは許されない」

 見極めようとしているのは「本気度」だ。政治資金規正法の厳罰化はもちろん必要で、派閥についても「(『政治とカネ』の問題を)必要悪と開き直るような形なら、ないほうがいい。悪を徹底的に取り除き、新しい政策集団をつくるべき。そうでないと、党の掃除はできませんよ」。

 苦言は党所属の地方議員からも聞こえる。ある市議は「国会議員には襟を正してほしい」と注文する。

 地方議員に比べ、国会議員は歳費のほかに調査研究広報滞在費(旧文通費)も支給されるなど「優遇されている」。にもかかわらず、多額の「キックバック(還流)」が明らかになった。議員は「ありえない話で、もらう必要はない。もっと考えて行動してほしい」と訴える。 

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