まちづくりや教育 担い手育成へ 岡山県内住民有志がフォーラム

玉野市で昨年10月に開かれたフォーラム。事例発表に続き、交流タイムで意見交換した

 まちづくりや教育に携わる岡山県内の住民有志が2023年度から、各地の実践事例を紹介する「旅するひとづくり・まちづくりフォーラム」を県内で開いている。地方では少子高齢化や人口減少が進み、地域活性化の担い手育成が大きな課題となる中、有志が目指すのはまちづくりを「自分事」として捉えられる人づくり。事例発表や自由な意見交換を通して参加者の交流を図りながら、豊かな地域を育むヒントや悩みの共有も図っており「地域づくりや教育について考え、一歩を踏み出す契機にしてほしい」と参加を呼びかけている。

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 岡山県内の住民有志が23年度から始めた「旅するひとづくり・まちづくりフォーラム」は、地域の多様な教育の可能性をテーマに県教委が21、22年度に開いたフォーラムが前身となっている。新型コロナウイルス禍でオンライン開催となった事業を県教委が継続しなかった経緯もあり、スタッフなどで参加したメンバーが引き継ぎ、実行委員会を組織した。

 一般社団法人やかげ小中高こども連合の室貴由輝さん(57)=矢掛町=らが中心となり、「まちづくりの好事例を広めたい」と25年度までに計10カ所程度で開催を計画。23年度は昨年7月に和気町、同10月に玉野市で開き、廃校の活用、商店街活性化などの活動が報告された。

 事例発表後に「交流タイム」を設定。発表者も含め工夫や悩み、気付きを話し合い、玉野市の会場では「PTA活動への参加が難しい」「郷土に関心がある次世代はどうやったら育つか」といったテーマで意見交換した。和気町で特産品づくりに取り組む竹村松幸さん(67)=同町=は両会場に参加し「さまざまな立場の人と一緒に考えるのが魅力。まちを動かす力を感じている」という。

 「まちづくりに興味はあっても自分には難しそうだと思っている人が、参加の糸口を見つけられる時間になれば」と室さん。多くの人を巻き込もうと開催地を変え、ご当地の事例を紹介している。

 21日は本年度3回目を矢掛町矢掛の町農村環境改善センターで午後1時から開く。観光振興や地域おこし、国際交流に関する事例の発表後、50分間の交流タイムを予定。地元の小中高生も運営に携わる。定員200人。フォーラムのホームページから申し込む。

 山陽新聞社は地域の課題解決や魅力創出を図る「吉備の環(わ)アクション」を展開しており、「旅する―」を紙面掲載などを通じて支援する。

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