重伝建、住民が被害調査 高岡・吉久まちづくり推進協 対象エリア90軒聞き取り

地震の影響で隆起した道路=高岡市吉久1丁目

  ●高齢者を支援、町並み守る

 重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の高岡市吉久地区の住民は15日までに、重伝建エリアの地震被害の調査に乗り出すことを決めた。吉久地区では液状化現象による道路の隆起や住宅の傾き、下水道管の損傷といった被害がある。高齢者や困りごとがある住民らからも被害状況を聞き取り、支援につなげながら、古い町並みを守る。

 吉久まちづくり推進協議会は、千本格子の町家が立ち並ぶ重伝建エリアの住宅約90軒にアンケートを実施する。これまで同エリアに大きな被害は報告されていないが、家屋の破損状況を調べ、修理の必要があれば市に報告する。市文化財保護活用課によると、伝統的建造物の災害支援については未定だが、国の支援策が示されれば市が対応する。

 地震により、重伝建エリアと万葉線が通る県道を挟んで北西側にある吉久1丁目一部地域(第一町)で、道路の地割れや住宅のゆがみ、塀の損壊などが起こった。余震などによる二次災害を防ぐための応急危険度判定では、倒壊の危険と判定された住宅が3軒、要注意の住宅は33軒ある。

 吉久連合自治会は被害が大きな第一町を中心に、住宅被害のほか下水道や道路など生活インフラの不具合を聞き取り、避難が必要な場合には地区内の空き家を貸し出すといった対応を検討する。

 調査で得た情報は、住民や市職員、大学研究室などが参加する2月の「よっさまちづくり会議」でも共有し、復旧後のまちづくりを考える。

 11日に開かれた吉久まちづくり推進協議会の会合で、被害調査について提案があり、吉久連合自治会ととともに住民の災害対応に協力することにした。

 吉久まちづくり推進協議会の草島誠一会長(74)は「重伝建もそれ以外のエリアも、住民が元通りの生活を取り戻すために動いていきたい」と話した。

地震の被害調査などの対応を話し合う住民=高岡市吉久公民館

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