筋力低下や感染症懸念 能登地震 茨城県派遣チーム帰還

避難所で段ボールベッドを組み立てる県職員ら=石川県内(県提供)

能登半島地震の被災地支援で、茨城県の派遣チーム第1陣が活動を終えて相次ぎ帰還した。活動分野は医療や避難者の健康維持、避難所運営など多岐にわたったが、被災地は断水が続いており、マンパワーも不足。派遣チーム代表は、避難所暮らしの長期化に伴う高齢者の筋力低下や感染症流行などに懸念を示した。

茨城県や市町村の保健師らで構成するチームは8日、石川県輪島市の被災地へ出発。現地では空き病棟で寝泊まりしながら、避難所の衛生対策や避難者の相談対応に当たり、13日に帰還した。

県感染症対策課の保健師、石川裕子さん(58)は、避難所について「インフルエンザや新型コロナ、胃腸炎のような感染症がはやり始めている所もある」と懸念を示す。避難者からは「普段飲んでいる薬がない」などの声が多かったという。

同県能登町に6日から支援に入ったのは県の災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)。医療ニーズ把握や情報共有、避難所巡回の調整などに当たり13日に帰還した。

つくば保健所長で医師の野田秀平さん(56)は、避難所生活を送る高齢者の筋力低下に危機感を募らせる。「体を動かす機会が減少し、タンパク質不足が起きる」と語り、筋力低下予防に向けた支援の必要性を強調した。

避難所運営などに当たった県グローバルビジネス支援チームリーダーの渡辺達彦さん(52)は「生活用水の不足が最も深刻」と振り返る。断水でトイレや調理器具の汚れが流せず、トイレ掃除は雪や雨水、新聞紙を利用したという。

渡辺さんは「住民が団結して困難を乗り切ろうとしている姿があった」と語る一方、避難所を支える行政職員が少ない現状を指摘。「マンパワーが不足しており、引き続き職員を派遣する必要がある」と話した。

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