アメフト・茨城セイバーズ X1昇格へ「集大成」 地域密着、着実な歩み

昨季のアメリカンフットボールX2で過去最高の2位に入った茨城セイバーズ=2023年11月25日、鉾田市当間

茨城県鉾田、行方の両市をホームタウンにする日本社会人アメリカンフットボールXリーグ2部(X2)の「茨城セイバーズ」は、地域に根差したチームづくりを進め、着実な歩みを続けている。2023年シーズンはX2中地区で4勝2敗の2位と、参戦5年目で過去最高の成績を収めた。近藤秀則代表(44)は「22年に『3年でX1』を掲げてから順調に成長している。最終年となる今年は集大成を見せたい」と意気込んでいる。

リーグ前半戦は、苦しい戦いだった。ホームの鉾田総合運動公園陸上競技場で迎えた昨年9月の開幕戦は勝利で飾ったが、その後は2連敗。選手起用などの駆け引きで後手を踏み、勢いに乗れなかった。

優勝に向け負けられない状況の中、チームは底力を見せた。10月のホーム戦では、一進一退の展開の中、試合終盤のタッチダウンで逆転勝利。残りの試合も攻守がかみ合い、後半戦は3連勝を果たした。

優勝と昇格は逃したものの、苦境を乗り越えた選手たちは確かな手応えを得た様子だった。ホーム最終戦後、小室尚隆主将(31)は「着実に順位は上がっている。次は優勝する」とスタンドを埋めた地元ファンに力強く宣言した。

昨年はチームが成長を示した一方、ホームタウンとの関わりも深まった。春のトーナメント戦1試合と、リーグ戦4試合をホームで開催。鉾田市の岸田一夫市長や行方市の鈴木周也市長らも応援に駆け付けるなど、計5試合で計約1500人が観戦した。

また、鉾田市内で希望する小学校を対象に実施していたアメフトの派生競技「フラッグフットボール」の出前授業は、昨年から市内全校に対象を拡大。行方市では選手が観光企画のPRを担ったほか、さまざまな地域イベントに参加した。

今年も公式戦開催を継続しつつ、地域貢献活動にも力を入れる。新たに中学校部活動の地域移行への協力や、フラッグフットの大会誘致などにも取り組み、ホームタウンとの関係をより強固にしていく考えだ。

21年に水戸市から鉾田市に拠点を移し、地域に密着することで上を目指す体制を整えた。「皆さんの力添えのおかげでやっとX1に手が届くところまで来られた」と近藤代表。支えてくれた人たちへの感謝を胸に、悲願達成へと突き進む。

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