【AJCC/危険な人気馬】堅実派の年長馬に“馬券内率7.4%” 勝ち星ゼロの不安材料に続々該当

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今週は、新春の中山開催を締めくくる伝統の一戦、第65回アメリカJCC(GII、芝2200m)が中山競馬場で行われる。

今年は、重賞3勝のボッケリーニや、悲願の重賞奪取を目指すマイネルウィルトスなど7歳以上のベテランが多く顔を揃えたメンバー構成。対して、昨年の紫苑Sを制したモリアーナや、中山金杯覇者のラーグルフなど4、5歳勢が古豪の壁をぶち破るか、先の中長距離戦線を見据える上でも必見のレースだ。

そんな中、遅咲きの新星チャックネイトが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■実績、斤量、短期免許の外国人と、勝てない要素が揃う

昨年、5歳の秋を迎えてようやくオープン入りを果たしたチャックネイト。重賞初挑戦となった前走のアルゼンチン共和国杯では、道中で接触するなどタイトな競馬を強いられたが、勝ち馬から0秒2差の3着に好走。デビューから14戦して掲示板を外したことがない堅実派で、相手になりに走れる点は大いなる魅力だ。

しかし、GIIの別定重量で争われるAJCCは、その年の始動戦として使われる馬も多く、GI・GII実績が要求される一戦でもある。過去10年の勝ち馬10頭中8頭は、芝2000m以上のGIで3着以内、もしくはGII優勝の実績があり、残る2頭もGII2着やGIII勝ちを果たしており、重賞3着が一戦という実績だけのチャックネイトにとって、格の面では大きく見劣る。

また今回は斤量57キロを背負うわけだが、過去10年のAJCCで前走から斤量減だった馬の成績は【7.2.5.50】、増減なしは【3.6.5.40】と、馬券圏内に入る馬のほとんどがこのタイプ。対して、斤量増だった馬は【0.2.0.25】複勝率7.4%と、2頭しか馬券に絡んでいない。

今回はアルゼンチン共和国杯で2着に入ったマイネルウィルトスと再び相まみえることとなるが、マイネルウィルトスは当時と同じ57キロで、チャックネイトは56キロから1キロ増。わずかクビ差の前走から同斤量で争う今回、その差を逆転することができるだろうか。

加えて、今回初コンビとなるR.キングを鞍上に迎えるが、例年この時期に短期免許で来日した外国人騎手がAJCCで手綱を取ることが多いものの、過去10年で【0.1.3.8】連対率は8.3%と心許なく、勝ち星も上げられていない。堀厩舎は身元引受調教師として、積極的にR.キングを起用し、このコンビですでに2勝をマークしているが、果たして重賞でどこまで通用するか。

今年は7歳以上の馬が5頭も出走を予定しているが、過去の傾向から好走しているのはやはり4~6歳が中心。その中で、上がり馬として魅力たっぷりのチャックネイトだが、実績面や斤量、初騎乗の外国人騎手と、勝ち切るには厳しい条件が揃っている。妙味を考えると、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

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