「生」の字に祈りささげ 宝塚・武庫川、石積みオブジェ浮かび上がる

ライトアップされた石積みの「生」の字。若者らが黙とうを捧げた=16日午後5時46分、宝塚市内(撮影・吉田敦史)

 阪神・淡路大震災の犠牲者を悼み、宝塚市の武庫川中州に市民らが石を積んでつくった「生」の字のオブジェ(縦20メートル、横10メートル)が思い16日夕、ライトアップされた。市内の犠牲者119人と同数の懐中電灯でともされ、約150人が祈りをささげた。

 震災から10年後の2005年1月、同市の現代美術家大野良平さん(64)が制作。増水で流失するたびボランティアを募って修復しており、昨年12月に「13代目」を完成させた。大野さんが代表を務める市民団体「記憶の中の『生』再現プロジェクト」が毎年、1月17日に向けた祈りの場にしている。

 夜の帳が下り始めると、石積みが輝き、参加者は地震発生時刻12時間前の午後5時46分に黙とうした。

 同市南口2の主婦(83)は「能登半島で大きな地震があった。毎年、石積みを見に訪れており、阪神・淡路大震災から29年が過ぎても生きることの意味について考えるきっかけになる」と話した。(西尾和高)

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