〈1.1大震災〉氷見の断水解消「終盤戦」 残り260戸、復旧に全力

断水の復旧に向け試験通水の状況を確認する氷見市職員=同市中田

  ●寒風の中、慎重に作業

 能登半島地震で一時全域が断水した氷見市で、復旧作業が「終盤戦」を迎えている。水がまったく流れない「断水地域」は16日、石川県境付近にある姿、中田、中波、脇の北部4地区の260戸に減少した。同日も市と業者が寒風の中で漏水調査などを続けた。市は「ゴールが見えてきた」(上下水道課)としながらも、全世帯の断水解消に全力を挙げる構えだ。

 自己水源を持たない氷見市は、富山県から供給される水道用水が高岡市内を通って市南部にある配水池に蓄えられた後、市全域に送られる。1日の発災後、市内各地で起きた道路の液状化現象や家屋の倒壊・損壊などにより、広い範囲で漏水が多発。断水は約1万4千世帯に及んだ。

 復旧作業は配水池のある市南部から始まった。市は飲用には使えないがトイレなどには使える水が通る「通水世帯」を拡大させながら漏水修理を進めた。ただ、幹線管路で漏水が見つかるなど作業は一筋縄ではいかない。漏水箇所が多い地域に一気に水を通すと新たな断水を発生させる恐れもあり、慎重な作業にならざるを得なかった。

 市は市民に節水を呼び掛けながら、地道に作業を続け、復旧世帯数は10日に1万世帯超、16日には1万3220世帯に拡大した。

  ●住民協力ではかどる

 特に最も遅れるとみていた市街地北部(北大町、栄町、諏訪野、間島の一部)が14日に解消されたのは、市側にとって予想外の早さだったという。自宅の配管が壊れるなどして漏水していた住民が自主的に水道のバルブを閉めたことで、水道管の漏水箇所を発見しやすくなり、作業がはかどったという。

 最後の難関になっているのが家屋の倒壊・損壊が著しい姿地区だ。近くの灘浦配水池に10日に通水したものの、集落の漏水箇所の発見が難航。供給可能量と排水量のバランスをとれない状態となっていた。

  ●姿、中田で試験通水

 それでも16日に姿地区と隣の中田地区でようやく試験通水にこぎ着け、職員と業者6人が漏水調査を進めた。市によると、民家の水道整備を含め両地区で21件の漏水が確認された。2週間ぶりに通水した中田地区の方山忠光さん(79)は「きょうはホースから水が出てうれしかった。復旧に1カ月はかかると思っていたので職員の頑張りに感謝している」と表情を緩めた。

 復旧世帯は拡大したものの、通水世帯520世帯を含めると未復旧はまだ780世帯ある。市上下水道課の足立章夫課長は「『もう限界』『助けて』との声を聞いており、1日でも早く復旧させたい」と気を引き締めた。

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