〈1.1大震災〉中小企業100億円被害 県内、知事会見

会見する新田富山県知事=県庁

  ●宿泊キャンセル2万人超

 富山県の新田八朗知事は16日の会見で、能登半島地震による県内の中小企業などの被害状況について、少なくとも100億円規模になるとの見通しを示した。被害規模が大きな事業者を中心に聞き取りを行っており、さらに増える可能性もある。県内の宿泊施設については、これまで127施設で2万1372人のキャンセルが確認されており、約3億円の損失が見込まれるとした。

 県によると、県内の事業所や工場では壁や天井の損傷、製造機器の停止や誤作動、地盤沈下や隆起によるひび割れ、商品や原材料の破損などの被害がみられる。特に氷見、高岡、射水、富山の4市で大きな被害が報告されているという。

 9日時点で被害額を約58億円と見積もった。製造業の本格稼働前の調査であることなどを勘案し、被害額は少なくとも100億円規模と推定した。

 新田知事は、富山の主力産業の一つである医薬品分野について「被害状況を集約している段階」と説明。その上で、医薬品製造は精緻な部分があり、工場のラインがフル稼働し始めるにはまだ時間がかかるとの認識を示した。

  ●宿泊の影響幅広く

 宿泊施設のキャンセルに関しては、特に被害の大きかった氷見市にとどまらず、通常通り営業を行っている宇奈月温泉や富山、高岡両市など幅広い地域で発生しているとした。全国旅行支援に参画した284施設を対象に調査し、回答率は44.7%だった。

 富山県ホテル・旅館生活衛生同業組合は16日、能登半島地震の影響による県内の宿泊施設のキャンセル状況を発表。宿泊客1万1285人、日帰り客6156人で、損失額は2億8165万円に上った。約100施設に問い合わせ、27施設から回答があった。

© 株式会社北國新聞社