〈1.1大震災~連載インタビュー〉(5)岸田首相「地域産業復興にも注力」

非常災害対策本部会議で発言する岸田首相=16日午前、首相官邸

 岸田文雄首相は16日、北國新聞社のインタビューに応じ、能登半島地震の被災者の生活再建を支援する政策パッケージを月内にも取りまとめる方針を示した。インフラの復旧だけでなく、伝統産業や観光業、農林水産業の復興も盛り込む考えで、首相は「地域を支える産業の復興にも力を入れる。被災者、被災地の立場に立って可能な限りの支援策を検討するよう指示している」と強調した。

 インタビューは書面で行った。

 14日に石川入りし陸自ヘリから被災地を上空視察した首相は「避難所のすぐ近くにも倒壊家屋があり、上空からは道路の寸断や海岸の隆起がすぐに分かった」と振り返り、「被害の状況を目の当たりにして、地域を支える産業の復興にも、しっかり力を入れていかなければならないと感じた」との認識を示した。

 被災者に対しては「まだまだ避難生活が続き、先の見えない生活に不安を抱いている方が多数いる」と気遣い、「不安に応えられるよう、総合的な支援施策をしっかり示し、県や市町と協力しながら取り組みたい」と意欲を語った。

 生活再建支援の政策パッケージについて、政府は今年度予備費から新たに1千億円超を支出する方針。インフラやライフラインの復旧、仮設住宅の確保に加え、産業の復興まで含めることで、被災地の不安解消につなげたい考えだ。

 大規模災害復興法の適用に向け、首相は「近いうちに閣議決定の手続きを行う」と明らかにした。同法に基づく「非常災害」に指定されれば、道路や河川などの復旧工事を国が代行し、県や市町の負担が軽減される。

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