笑って認知症予防 明生薬品工業(富山県射水市)の串間社長、元芸人の経験生かしボランティアで講演

高齢者に問題を出しながら講演する串間社長(奥右)

 配置薬販売業の明生薬品工業(富山県射水市三ケ・小杉)で社長を務める串間篤治(あつじ)さん(45)は、笑って認知症予防につなげてもらおうと、ボランティアで高齢者向けの講演活動に取り組んでいる。元お笑い芸人の経験を生かし、学校のテストで出された問題に対する子どもたちの「珍解答」を絡めて軽妙なトークを披露。「笑って免疫力を高めつつ、頭も使い、元気になってほしい」と話す。

 串間さんは宮崎県出身。高校卒業後、福岡県を拠点に吉本興業のピン芸人として活動し、結婚を機に20代半ばで引退した。帰郷して配置薬販売の仕事に就き、妻の家族が富山に移り住んでいた縁で、2011年に転居。間もなく明生薬品工業に入った。

 22年末に社長に就任し、会社をPRできるような新たな活動を模索。家庭を回って対面してきたお年寄りたちが認知症に対する不安を口にしていたことや、認知症患者が増えていることを踏まえ、講演「笑いの力と脳の体操」を始めることにした。

 23年7月から活動をスタート。老人クラブなどの集まりに出向き、テストの解答を面白おかしく紹介しつつ、健康に関する出題や知識を織り交ぜながら講演する。半年間に射水、高岡両市の10カ所で開催。「笑うことが減っていたので楽しかったという感想をもらったこともあり、始めて良かった」と語り、24年からエリアを広げたいという。

 配置薬業界を取り巻く環境は、顧客の高齢化や医薬品の不正製造の影響などで、決して穏やかではない。串間さんは「会社だけでなく、配置薬自体を身近に感じてもらい、業界のイメージ回復にもつなげたい」と意気込む。

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