民族楽器取り入れた演奏「旅をした気分を」 音楽ユニットで活動するギタリスト

ユニットを組む勝野さん(左)と自宅でセッションを重ねる正木さん=宇治市莵道

 正木良久さん(42)は南米アンデスやアイリッシュなど民族音楽の多彩なリズムを取り入れた2人組のインストゥルメンタルユニット「アルボリビエント」のギタリストとして活動する。音楽イベントなどを通し住民が音楽と触れ合う機会をつくることに力を入れており、「音楽で地域を盛り上げたい」と話す。

 東京都生まれで、小学4年生から京都市南区で育った。高校生の時、上級生のギター演奏に感動し、バンドを組んでパンクロックにのめり込んだ。音楽の専門学校に通うなどして演奏の腕を磨き、オリジナル曲でデビューを目指した。

 2018年に知人を通じてアンデスの笛奏者勝野勉さん(43)=大阪市=と出会い、「音楽のルーツは違うが曲作りの感覚が近い」と意気投合。スペイン語で木と風を意味するアルボリビエントの名で、20年春にユニットの活動を開始した。当初は新型コロナウイルス禍で活動が制限されたが、ライブを重ね、21年秋に1枚目のアルバムを完成させた。

 2人が目指すのは「風景や四季の移ろいをイメージできる音楽」。ロックやブルースなどさまざまな音楽ジャンルから学んだギターと、郷愁漂う音色を放つ勝野さんの笛と融合させ、独自のスタイルを編み出した。

 自身の音楽活動の転機となったのが、30代前半で体験した米ニューヨークの教会でのコンサートという。ミュージシャンと観客が一体となって歌い上げる光景に「震えるほどの熱量で歌の力を感じた」と振り返る。

 そうした音楽を自分たちで生み出したいと22年11月と昨年10月、地元の宇治市文化センターでゴスペルグループとともに音楽イベント「うたのチカラ」を開催した。いずれも200人を超える観客を集めて成功させた。

 今後はイベントで得た利益を活用し、民族楽器の笛を作る子ども向けの講座の開催などを予定している。「音楽を通して地域に貢献したい。自分たちの演奏で旅をした気分を味わってもらえたらうれしい」と語る。宇治市莵道。

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