俳優の斉藤陽一郎さん 茨城訛り体得に苦戦 桜川市舞台の短編映画に出演

短編映画「ひかりさす」に出演する斉藤陽一郎さん=桜川市内

茨城県桜川市を舞台に撮影が進む短編映画「ひかりさす」に出演する俳優の斉藤陽一郎(さいとうよういちろう)さん(53)。「良いものを作るために全員、そこに向かっている感じ。すごく温かく良い現場」と語る。

市内を巡回するバスを舞台に、乗客の主人公が亡き父の記憶をたどるストーリーで、その要となるバス運転手役を演じる。作品について「人間の営みの歴史みたいなことが描かれている」と評しつつ「札幌出身なので、茨城の訛(なま)りを入れるところが一番難しかった」と笑いを誘う。

映画やテレビドラマで活躍する同県古河市在住の実力派俳優。カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞などを受賞した「EUREKA(ユリイカ)」をはじめ、青山真治監督の作品に数多く出演してきた。

幼い頃から映画好きで「スター・ウォーズ」などに熱中した。「映画館に行ってはチラシを集めてファイルに入れる。そしてサウンドトラック。レンタルレコードで借りて聞いていた」

その後、北海道から東京に移住。高校時代に下北沢の小劇場で芝居を鑑賞するうち、俳優を志すようになった。「性格的に前に出ていくのはあんまり好きじゃない。でも、なんかやりたいと思っちゃった」と振り返る。

古河市に住み始めたのは10年前。子どもの誕生がきっかけだった。祖父母が茨城県に住んでいたことがあり「意外と茨城の地名は耳になじみがあった」。

自然豊かな居住環境に触れ「流れている時間が東京とは全然違う。ずっとオフのままの時間でいられる」と満足げに話す。

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