提供の都営住宅公開 入居の被災者「毎日が不安だった」

能登半島地震の発生から16日。東京都が被災者に提供するために用意した都営住宅が公開されました。入居した被災者は「毎日が不安だった」と話しました。

記者:「提供される住宅には、冷蔵庫やエアコンなど家電が備え付けられています」

東京都は、今回の能登半島地震によって住宅が損壊などして住むことが難しくなった世帯を対象に、都営住宅を無償で提供しました。避難してきた人がすぐに住むことができるように家電や布団を用意し、現在100戸分の準備を進めているということです。先週水曜日から受付を開始。1月15日までに50件の入居希望を受け付けていて、すでに7世帯が入居しました。

石川県七尾市にある自宅が被災し、長女が暮らす東京都への避難を決めた奥井さんは「毎日が不安だった」と話します。

「食器棚がひっくり返ったりとか、遺影が下に落ちてガラスが散乱して、足の踏み場もない大変な状況になりました。毎日毎日不安です。不安でした。これからどうなるのかなと思って来たんですけども、本当に皆さん方に助けていただいて、現在生活させていただいております。本当にありがたいなと感謝を申し上げます」

近くの県に娘が住んでいることで生活に不便はないと言いますが、奥井さんが週に3回の透析が必要なことから家の近くでの治療を望んでいます。

「地震後透析が出来なくて、金沢に移動して透析したり、今後透析の場所を確保するのが難しいということで東京に出て来た。透析しないと困るので、都でもできれば住宅の近くで透析ができればいいなと思っています」

都では今回、特別養護老人ホームなどでも被災者を受け入れられる体制を整えていて、ニーズにあった支援を実施したいとしています。

改めて都が行う避難者支援の現状ですが、まず東京都では都営住宅100戸の提供を決めています。15日時点で128件の問い合わせがあり、50件の入居が決定し、すでに7件が入居済みということです。

さらに、老人ホームや障がい者施設での受け入れ、透析患者のベッドも確保しています。これは東日本などの過去の震災で必要になった経験や、今回の地震で多くの高齢者施設が被害を受けていることなどから、総合的に判断して対応を決めたということです。

また、先週設置された相談窓口では、東日本大震災の時の窓口の担当者が対応にあたっているということで、より避難者の心情に寄り添った支援を進めていくとしています。

過去の震災の経験を活かし対応にあたる、その一方で都の担当者に話を聞きますと、今回は東日本大震災の時とは東京に避難してくる被災者の状況に違いを感じていると話しています。

東日本大震災では大規模な津波や地震の被害のほか、原発事故からの避難など二次避難をせざるを得ない状況が多かったことから、避難の期間も長期間に渡り、孤立の問題にも発展したケースがありました。一方で、今回受け入れる人の多くは都内に家族や親族が住んでいる人で、孤立に陥る状況は限定的になるのではと話していました。都は「今後避難者が増加した場合には、孤立を防ぐ取り組みを検討していく」としています。

東京都では口座振り込みによる能登半島地震に対する義援金を受け付けています。振込先は、みずほ銀行東京都庁出張所 普通口座3011103で口座名は、令和6年・能登半島地震東京都義援金です。

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