吉祥寺ミニシアターをめぐる家族の物語 青山真治の脚本を甫木元空監督が引き継いで執筆 「BAUS」製作決定

映画「はだかのゆめ」や、Bialystocksとしての音楽活動でも知られる甫木元空の監督最新作「BAUS 映画から船出した映画館」の、製作が決定した。

映画上映だけにとどまらず、演劇、音楽、落語と、「おもしろいことはなんでもやる」というコンセプトを掲げ、30年の歴史を築いた吉祥寺バウスシアター。2014年の閉館の約90年前にあたる1925年に、吉祥寺に初めての映画館”井の頭会館”がつくられ、1951年にはバウスシアターの前身となる”ムサシノ映画劇場”が誕生した。映画「BAUS 映画から船出した映画館」は、バウスシアターの長い道のりと、ともに歩んだ家族たちを描く。

監督を務めるのは、昨年に小説版も発表された映画「はだかのゆめ」の甫木元空。近年ではバンド・Bialystocksのボーカルとしても活動の幅を広げている。脚本は、「吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館」と「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記」を原作に、2022年に亡くなった青山真治が着々と温めていた内容を、甫木元空が引き継ぐ形で執筆した。

本作の劇中で使用する写真・映像を募集中。「井の頭会館」時代、「ムサシノ映画劇場」時代、「吉祥寺バウスシアター」時代という約90年という歴史のなかでさまざまな表情を見せる、映画館や街の写真や映像を募集している。

甫木監督らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■監督:甫木元空
映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。そこに特別な秘密があるわけではなく、世界中どんな街にも存在する映画館に生きた無名の家族の物語です。
映画という窓を街に作り、娯楽という風を吹き込む事に奮闘した無名の(無数の)人々の密やかな企み。決して戦争をしてもよいと企む人々ではない。かすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きたこの家族の思いが、空想と共にささやかな一本の映画となって、世界の人々に映画館の存在を改めて説いてくれる。そんな願いを込めて本作を作れたらと思っています。

■エグゼクティブプロデューサー:本田拓夫
古今東西、映画館屋の話って余り聞かないと思います。親子三代で村や町に映画を広めたその物語を映画にしたくて、長い間その時を待っていたんです。そしてバウスシアターの閉館やその後の映画作りへのかかわりなのかで、ついに映画の仲間たちに繋がったんです。
爆音映画上映の樋口さんに映画化の話をしてその制作をお願いしたところ、青山真治監督を紹介して頂き、三度程お会いして話をしてお願いしたのです。最初のプロット、初稿ができ、あんな話、こんな話をして物語を詰めたいと思う矢先に突然のご不幸を知り驚きと無念さに悲観にくれていたところ、樋口さんより青山監督の愛弟子の甫木元空さんがこの話を繋ぐとの話が出て、それは終わりの始まり、バウスをやっていたときもそうだったけど、これでようやくいろんなピースが集まって映画は完成するなと思ったんです。古い話、映画館の改装や建て替えや経営の切り替えや上映する映画等々でさんざん苦労してきた私には、映画から船出した映画館、つまりバウスシアターの物語の完成は夢でもありさらにそこから始まる物語のスタートとも言えるものではないかと思っています。いまはただ、全国公開となる日を楽しみにしなから待つ身ですが、役立つならなんでも協力すると思っている今日この頃です。
楽しく、面白く行こうぜ。

【作品情報】
BAUS 映画から船出した映画館
配給:boid、コピアポア・フィルム
©︎本田プロモーションBAUS/boid

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