「街訪れるきっかけに」アップルブランデー完成 シードル醸造・タグボート(青森県平川市)

28日に発売するアップルブランデー「クレイジーデイズ」。炭酸で割って飲むのがお薦めだという
「このブランデーをきっかけに、交流人口を増やしたい」と話す水口代表

 青森県平川市でハードサイダー(シードル)「CRAZY CIDER(クレイジーサイダー)」を醸造する「タグボート」が、初めて醸造したアップルブランデー「CRAZY DAYS(クレイジーデイズ)」を28日に発売する。同社の水口清人代表取締役(50)は「シードルを造り続けてきたことが生かされた。ブランデーをツールとして、お酒を造っている所にインバウンド(訪日客)の人に来てもらうことが最終形」としている。同社は現在、クラウドファンディング(CF)で、ネクストゴール達成に挑戦している。

 同社は、運営する温泉施設「福家」隣接地に同市初の醸造所を整備し、2022年4月に同市産リンゴを原料としたクレイジーサイダーを発売。同年、県特産品コンクールで最高賞の知事賞を受賞している。

 ブランデー製造は当初からの構想で、ドイツから蒸留器を取り寄せ、免許取得の準備を進めていた。晴れて23年7月に免許を取得、10月に第1段の仕込みを行い、ドイツから技師を招き指導を仰いだ。ブランデーの完成度の70%は原酒となる良質なシードルが造られているかどうかで決まると話した技師は、クレイジーサイダーを味見すると「グッド。必ずいいブランデーができる」と太鼓判を押したという。

 今回発売する「WHITE DREAM EDITION」は、たる仕込みをしない出来たての透明なブランデー。海外戦略を考えた時に、世界自然遺産のブランド力は強いと考え、白神山地の超軟水を仕込み水に使った。とても芳醇(ほうじゅん)なリンゴのアロマが特徴で、炭酸割りのハイボールやカクテルのベースにお薦めだという。700ミリリットル入りで4400円(税別)。現在、事前予約を受け付けている。たる仕込みの商品は夏ごろ発売予定だ。

 CFは、たるの購入費用などを目的に6日に始めたところ、4日間で目標額500万円を達成。水口代表は「思いもよらず反響を呼んだ。次のタイミングに進むのも今だと思った」と、醸造所敷地内に試飲体験や商品購入ができるショップ、ブランデー貯蔵庫などを備えた施設の建設費に充てるため、次の目標を2千万円に設定した。水口代表は「ブランデーをきっかけに平川市を訪れる人を増やしたい。ネクストゴール達成で、地域、観光を含めたコミュニティーの場をつくる」と力を込めた。資金は専用サイト「キャンプファイヤー」で2月25日まで募っている。

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