がれきの中から見つかった1歳長女「抱いたらほんのり温かく」 義母と犠牲に「悲しみ消えない」

震災で亡くなった長女瞳さんのことを振り返る竹場満さん=17日午前7時34分、神戸市中央区加納町6、東遊園地

 がれきの中から見つかった娘のぬくもりが、今も忘れられない。1歳2カ月だった長女瞳ちゃんと、義母関ハルさん=当時(63)=を亡くした神戸市灘区の会社員竹場満さん(58)は、神戸市中央区の東遊園地で目に涙を浮かべた。「毎年ここに来て、あの日のことを伝え続けたい」。震災の8日前に生まれた長男遼太郎さん(29)らと誓った。

 当時、妻典子さん(58)は生まれたばかりの遼太郎さんを連れて、近くの実家に帰っていた。激しい揺れで、瞳ちゃんとハルさんのいた1階部分が崩れた。がれきの下から発見されたときには、瞳ちゃんを守るようにハルさんが覆いかぶさっていた。「娘を抱いたとき、ほんのり温かくて、目立った傷がなくて。守ってくれようとしたお母さんには感謝しかない」と目を潤ませる。

 震災後、1男2女を授かった満さん。朝晩全員で仏壇に手を合わせ、「1.17のつどい」にも毎年一緒に訪れてきた。「うちもみんなもつらい思いをしてきた。神戸で暮らす以上、その悲しみを知ってもらいたかった」。遼太郎さんも4人の子どもに恵まれ、最近は3世代でつどいに訪れる。

 午前5時46分、家族で手を合わせた。「家族を失った悲しみは消えないけれど、子や孫と一緒にここで手を合わせられるのはうれしいこと。さらに先の世代まで、いつまでも記憶が受け継がれてほしい」と満さん。追悼の思いは親から子、そして孫へと引き継がれていく。(門田晋一) 【特集】阪神・淡路大震災

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