急転自粛スピードワゴン・小沢氏「何ら恥じる点がない」は本当か… “合コンアテンド”が「違法」になるケースとは

当初活動の継続を表明していたが、13日に活動の自粛を発表した

合コンのアテンダーとして、松本人志の性加害疑惑で週刊誌報道に名があがったお笑いコンビ・スピードワゴンの小沢一敬氏が、13日、活動自粛を発表した。当初事務所側は、「行動には何ら恥じる点がない」としていただけに、急展開だ。背景になにがあったのか…。

”潔白”から一転、自粛の間に小沢氏なにがあったのか

松本氏が週刊誌の性加害疑惑報道後、「裁判に集中」を理由に活動休止を発表したのは1月8日。小沢氏が所属するホリプロコムは、この翌日9日に、「スピードワゴン小沢一敬はこれまで通り活動を続けてまいります。なぜならば、小沢の行動には何ら恥じる点がないからであります。一部週刊誌の報道にあるような、特に性行為を目的として飲み会をセッティングした事実は一切ありません」としていた。

小沢氏側は芸能活動について、松本氏の動向を見たうえで発表しており、今回の一転自粛は不可解ではある。ホリプロコムのグループ事務所のホリプロに所属する和田アキ子氏は自身のテレビ番組で「ちゃんと本人に確認をとって、全部確認してから発表してほしかったですね」とコメント。これは、小沢氏の意思とは関係なく、事務所サイドが一方的に活動継続を発表したことを示唆している。

合コンアテンダーが明かす実態

真相はともかく、合コンのアテンドが、活動を自粛するほどの”重罪”といえるのかは、しっかり考察する必要があるだろう。著名アスリートに女性との飲み会をセッティングした経験のある人物Sが打ち明ける。

「知人や先輩に対するアテンドの場合、その知人との関係性を密にしたり、恩義で女性を紹介したりする場を設けるのが一般的です。『セクシャルなことをサービスして』とまではお願いしませんが、楽しい飲み会になるようにと女性にはそれとなく伝えたりはします。私の場合は、そうした対応に慣れた女の子に依頼するようにしていましたね」(S)。

男女の出会いの先にはなにがあるかわからない…(buritora / PIXTA)

いわば、数名限定の即席のキャバクラのような場を提供し、男女双方に楽しんでもらうのがその趣旨だ。その場で意気投合し、その後どんな展開になるかは、当人同士にしかわからない。もし仮にアテンダーが「最後まで」と女性側に依頼していたとしても、その場のノリで”破談”になることもあるだろう…。

ケース別に弁護士が"違法度"を解説

密室における男女のことであり、さまざまな状況が考えられるが、アテンダーの事前の仕込み具合のケース別にその法的リスクについて、不貞慰謝料請求や刑事事件など、幅広い分野で実績のある三木 悠希裕弁護士に聞いた。

【ケース1】あくまでも楽しい飲み会のセッティングで、双方に性的な行為の可能性は伝えていない場合

「特に問題はないです。ただし、例えば無理やり性的な行為が行われるなど違法行為が行われていて、アテンダーとして容易に制止するなど、被害の発生を防止できる立場にあったにもかかわらず、これを傍観するようなことがあれば、民事上の不法行為等に該当し、賠償義務を負うことになる可能性はあります」。

【ケース2】男性側には性的な機会もあり得ると伝え、女性側にはそうしたことは伝えていない場合

「仮に性的行為が行われた場合、不同意わいせつ罪や不同意性交罪等の被害を訴えられるリスクがあります。たとえ自身がわいせつ行為を行っていなくても、その幇助や共同正犯として処罰される可能性があります。またその場合は民事上の賠償義務も発生しうるでしょう」

【ケース3】男性側には性的な機会はないと伝え、女性側にはそうした可能性を伝えておいた場合

「例えば、飲み会で、女性側の費用負担を男性側よりも軽減したり、男性側の「おごり」にしたりし、かつ性交に至った場合、『対償を受け、不特定の相手方と性交』する売春に該当する余地があり、売春の周旋をしたなど、売春防止法に抵触する可能性があります。また真実、同意はしていなかったと、不同意わいせつ罪や不同意性交罪等の被害を訴えられるリスクは否定できません。そうすると、その幇助や共同正犯として処罰される可能性があります。また、その場合は当然民事上の賠償義務も発生しうるでしょう」。

【ケース4】男性側には性的な機会もあり得ると伝え、女性側にもそうした可能性を伝えていた場合

「ケース3同様、場合によっては売春防止法に抵触する可能性があります。また、真実、同意はしていなかったと、不同意わいせつ罪や不同意性交罪等の被害を訴えられるリスクは否定できません。そうすると、その幇助や共同正犯として処罰される可能性があります。またその場合は民事上の賠償義務も発生しうるでしょう」。

三木弁護士には併せて、「例えば、違法薬物を扱うような会へ、そうと知ってアテンドした場合、罪に問われる可能性はあるのか」も聞いた。

「犯罪行為を行う会のアテンドということであれば、当該犯罪の幇助ないし共同正犯として処罰される可能性があります」(三木弁護士)。

最後に、三木弁護士に上記を踏まえ、「仮にアテンダーに非がない、もしくは法的リスクを犯していない場合は、週刊誌を名誉毀損で訴えることは可能か」も聞いた。

「その場合、名誉毀損で訴えることは可能ではあります。勝算については、記事の内容とそれを裏付ける根拠の内容によるため、なんとも言い難いですね」(三木弁護士)。

上記4つのケースで松本氏のアテンダーを担った各芸人が、どの仕込みをしていたのかは分からない。ただ、最も健全といえる【ケース1】でも、不法行為になる可能性があるというのは、男女のアテンドはたとえ先輩のためとはいえ、かなりハイリスクな役回りだったといえそうだ。

ましてやいまはコンプライアンスが声高に叫ばれる、令和の時代。その真実はわからないものの、法令遵守に対し、どのスポンサーも極めて敏感になっている。それだけにスポンサーの権力が絶大なテレビ界においては、グッと堪えておとなしくしているのが賢明なのかもしれない…。

© 弁護士JP株式会社