阪神・淡路大震災29年、教訓を次代に ひょうご安全の日のつどい 子どもたちがメッセージ

ひょうご安全の日のつどいに参列し、献花する人たち=17日午後1時9分、神戸市中央区脇浜海岸通1、人と防災未来センター(撮影・辰巳直之)

 兵庫県などによる「ひょうご安全の日のつどい」は、神戸市中央区脇浜海岸通1の人と防災未来センターで開かれた。県立西宮高校音楽科の献奏曲で始まり、参列者は阪神・淡路大震災、能登半島地震の犠牲者を追悼。兵庫の経験と教訓を胸に、支援や備えに努める思いを新たにした。

 会場周辺のHAT神戸では、防災を学ぶ展示やステージを展開した。能登半島の支援活動のため一部団体が参加を取りやめたが、県や神戸市、関西広域連合などが支援状況をパネル展示で伝えた。(金 慶順、田中陽一)

主催者代表あいさつ(要旨)

 斎藤元彦 兵庫県知事

 まずは能登半島地震で亡くなられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。がれきと化したまち並みや、避難所で身を寄せ合う人々の姿は、29年前の光景と重なります。

 災害の記憶は30年で風化すると言われます。震災を経験していない世代が増える中、経験と教訓を次に伝えることが大切です。

 阪神・淡路で生まれた創造的復興という理念は、国内外の災害復興に生かされています。災害はいつ、どこで起こるか分かりません。誰ひとり取り残されない社会の実現に向け、全力で取り組みます。

 内藤兵衛 兵庫県議会議長

 1月1日、能登半島で地震が発生しました。被災された皆さまが一日も早く平穏な生活を取り戻せるよう、「オール兵庫」で支援します。

 阪神・淡路大震災から29年を迎えました。記憶の風化が懸念される中、学んだ教訓を忘れることなく、防災力の強化に努めます。

 震災で犠牲となった方の御霊に心から哀悼の誠をささげ、安全で安心な社会の実現に向け、さらなる努力を続けることを誓います。

子どもたちからのメッセージ(要旨) 

▼兵庫県立舞子高3年 松本航海さん(18)

 舞子高校では、生徒が主体となって学期末の防災教育と避難訓練の内容を決めます。自分の命を守ることや防災の大切さをどのように伝えるか悩みましたが、3年間ぶれなかったのは、どんな災害が起きても目の前の仲間を失いたくないという思いでした。

 日本は災害大国ですが、南海トラフ巨大地震のような大きな災害が目の前に迫っているにもかかわらず、防災意識が浸透しているとは言い難いです。災害の犠牲者をなくす理想の実現は簡単ではありませんが、私は防災を学んだ者の使命として啓発し続けます。

▼神戸市立渚中3年 大塚愛結さん(15)

 私の家には、震災翌日から1週間分のすっかり黄ばんでしまった新聞が保管されています。そこには「とにかく食料を」「水が足りない」などと、現場の声も掲載されています。当時まだ生まれていなかった私も、記事で備えの大切さを実感しました。

 大きな災害を経験していない世代が増える中で、人々が防災意識を高く保つために私たちにできることは、まずどのような被害があったのかを知り、学んだことを定期的に伝えることだと思います。大切な命をつないでいけるよう努力したいです。

▼神戸市立なぎさ小6年 橋本歩実さん(12)

 この6年間で震災について多くの事を学びました。避難所では、避難生活を送りながら率先してボランティア活動をする方々がいたそうです。普段から周りの人と交流することが、災害時の協力につながるのではないでしょうか。

 震災の話を初めて聞いたとき、私はあまり心に留めていませんでしたが、授業や地域の防災イベントで何度も聞くうちに、自分から備蓄の確認や家具の固定に気を向けることが増えました。語り継がなければ、いつか忘れ去られてしまいます。震災に立ち向かえるよう過ごしていきたいです。

安全の日のつどい、主な参列者

 【政府・国機関】松本剛明・総務相▽盛山正仁・文部科学相

 【総領事】キャロリン・ディヴィッドソン駐大阪英国総領事

 【被災市長】久元喜造・神戸市長▽丸谷聡子・明石市長▽石井登志郎・西宮市長▽上崎勝規・洲本市長▽高島崚輔・芦屋市長▽山崎晴恵・宝塚市長▽守本憲弘・南あわじ市長

 【その他】井戸敏三・前知事

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