〈1.1大震災〉教訓胸に「我々が助ける」 兵庫の消防隊、輪島朝市で捜索 重なる1.17 黙とうささげ決意

能登半島地震の犠牲者に黙とうする兵庫の消防隊員=17日午前6時、能登町上町

 阪神大震災の発生から29年を迎えた17日、当時被災した兵庫県の消防で編成する「緊急消防援助隊」が輪島市内で活動を始めた。倒壊したいくつもの家屋と眼前に広がる焼け野原は「1.17」の記憶と重なり合う。当時を知る隊員は「29年前に全国から受けた恩を返す番」と決意し、東京や神奈川から駆けつけた消防の仲間とともに朝市の火災現場で行方不明者を捜索した。

 捜索に先立ち、午前6時の出発式では能登半島地震の犠牲者に黙とうをささげた。自身も消防に入った1年目に神戸で被災した原弘典大隊長(神戸市消防局)が「きょうは阪神・淡路大震災が発生した日。当時の教訓と思いを胸に、絶対的に被災者目線に立った活動に徹してほしい。今度は我々が助ける番だ」と訓示した。

 今回、全国の消防から能登に集まった緊急消防援助隊は、阪神大震災を契機に誕生した。兵庫県から派遣された隊員45人は午前10時20分、東京、神奈川の消防隊と輪島市河井町の朝市通りで捜索活動に当たった。隊員はドローンを飛ばして上空から状況を確認し、スコップやバールでがれきを掘り起こした。

 救助隊員として阪神大震災を経験した神戸市消防局の高村浩二司令補は「同じ日に能登の捜索活動に加わるのも何かの巡り合わせを感じる」と語り、当時全国から災害支援がやってきたことに触れ「あの時、全国から受けた支援の恩返しがしたい」と力を込めた。

 兵庫県の緊急消防援助隊は県内全24消防の182人で組織し、16日に活動拠点となる能登町の柳田植物公園に到着した。寸断された道路に対応できる車両やドローンの部隊も含まれており、行方不明者の捜索に当たるほか、能登町内で地元消防の支援を行う。

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