農業の救世主となるか 「農村RMO」モデル地区が描く未来 広島

中山間地域の農地 “全国一” という広島県内農業の救世主となるのでしょうか。国は、農政の基本法改正の中で中山間地域に「農村RMO」という自治組織を立ち上げ支援する政策を通常国会で提案する考えです。そのモデルが広島県北部の庄原市にあります。

人口約1600人。庄原市山内自治振興区、通称「山内地区」です。正月あけ、各自治会で「とんど」がありました。

ここ殿垣内(とのごうち)自治会では、農村RMOが話題に上がりました。

松田一馬 自治会長
「将来の山内をどう変えていくかということで、いろんな取り組みを作っていく。みんなで盛り上げていきましょう!よろしくお願いします」

「RMO」とは「地域運営組織」という意味の英語の頭文字をとったものです。中山間地域の集落の多くが消滅の危機にあるなか、国は振興策として「農村RMO」の結成を促し、支援する政策を今度の国会で提案する考えです。

山内地区は県内に3カ所あるモデル地区の一つです。山内地区ではこれまでも地域活動に取り組んで来ました。

竹やぶの竹を切り出し、その竹の粉を混ぜた肥料で「里山の夢」というブランド米を生産・販売しています。また地区外から人を呼び込もうと空き家を活用するプロジェクトをスタート。5年間で、21軒63人が移住してきました。

タイの農業青年との交流も検討

それでも農村RMOのモデル事業に応募したのは高齢化で、農家の数がどんどん減っているからです。

市川基矩 区長
「海外にも進出できるような産業にしていきたい」

国からの補助金は3年間で最大3千万円。東南アジアへのコメの輸出を考えていたところ、タイ政府からこんな提案がありました。

松田一馬 自治会長
「タイの農業青年との人的交流ですか、そういうのをやってみないかという提案があって、やってみたいなと」

研修生が来れば人手不足の解消にもなる。地区にとって魅力的な話です。

一方、山内以外の地区からは農村RMOに取り組むだけの人がいないというあきらめの声も聞かれます。

県北部を中心に広がる中山間地域。県全体に占める農地の割合は9割に達し、全国一の高さです。

自民党の進藤金日子参院議員は党内で、農村RMOなどの政策提言をまとめた中心人物です。23年7月には庄原市などを視察し、支援の在り方を模索してきました。

進藤金日子 参院議員
「RMOも画一的でなく、いろんなタイプが出てくると思う。関係人口の中でうまくみんなが連携して、支えていく姿っていうのが将来的に必要じゃないか」

地元の県会議員も農村RMOに期待しています。

小林秀矩 県議(庄原市選挙区)
「商工会議所、商工会も絡んでRMOを作って、みなさんで一緒になって農業に取り組んでいくという形もあってもいいんじゃないか」

タイの農業青年との交流に期待する山内地区の人たち…。まずはことし、自分たちからタイの農村を訪ねる考えです。

松田一馬 自治会長
「山内全体の地域活性化につながるように、地域を盛り上げていきたいと思っております」

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