人気声優・千葉翔也 ソロアーティストデビューを飾る1st EP『Blessing』全曲レビュー

人気声優・千葉翔也の1st EP『Blessing』が1月17日(水)にリリースされた。

2015年から本格的に声優としての活動を開始して以降、数々のアニメ・ゲーム作品に出演。『青のオーケストラ』では仲間たちと切磋琢磨する元・天才ヴァイオリニストの少年・青野一を、『アイドルマスター SideM』では一生懸命でひたむきな高校生アイドル・秋山隼人を、『ようこそ実力至上主義の教室へ』では能ある鷹は爪を隠すを体現した無気力な天才・綾小路清隆を演じるなど、彼の持つ表現の幅はとても広い。また『ヴィジュアルプリズン』『B-PROJECT』『Paradox Live』『東京カラーソニック!!』など、様々な作品でキャラクターソングを歌唱する機会も多く、特に2022年に放送されたアニメ『パリピ孔明』でKABE太人役で披露したフリースタイルラップはテクニカルなフロウも相まって多くの視聴者の話題を呼んだ。

そんな千葉翔也が今回満を持してソロアーティストデビューを飾る。今回の1st EP『Blessing』では収録楽曲全5曲のうち2曲の作詞を千葉本人が担当。リード曲「Blessing」のMusic Videoではギターを演奏する姿が披露されるなど、声優として培ってきた歌声や表現力はもちろん、アーティスト・千葉翔也として見せる類まれな才能の一端が示された、ファンのみならずとも注目の1枚となっている。

初回限定盤には「Blessing」のMusic Video に加えて、1st EPのレコーディング風景やジャケット・Music Videoの撮影に密着したメイキング映像が収録される。封入されている「M カード」を使えばその映像をPC やスマートフォンにダウンロードも可能。ソロアーティストデビューの裏側を知ることができる貴重な映像になっているはずだ。

今回はそんな本作収録の全5曲の楽曲レビューをお届けする。

M1「I’ll be」
デビューEPの1曲目は、千葉の力強い歌声が映えるロックチューン。“変わりたい”という願いを抱えた青年が未知の世界を見つけるために旅を始めるという内容の歌詞は、新たな世界へと飛び込んだ千葉の境遇をしっかりと描写しており、アーティスト活動の幕開けを飾るに相応しい1曲と言えるだろう。この楽曲の作詞は千葉本人が担当していることもあって、“この旅をどんな旅にしていきたいのか”という決意が明確に描かれているように感じられる。「I will define the brightest word 何度でも言うよ 悲しい言葉の意味を塗り替えて」「何もないこの手だからなんにでもなれる」といった言葉も、彼自身が記したからこそ説得力を持つ。

1番の楽曲展開も面白い。開始の35秒間で「Aメロ→Bメロ→サビの1フレーズ」の小ループを披露し、その後本来のAメロ→Bメロ→サビの流れを進んでいく。最初の小ループを経ることで、迷いを断ち切り前へ進んでいく1人の青年の心の動きがしっかりと表現されているような印象を与えてくれる。そんな心の動きをしっかりと歌声に乗せる千葉の歌唱力も素晴らしく、サビラストのファルセットをはじめとした技術的な部分はもちろんのこと、逡巡しているような出だしのパートからサビの感情を吐き出すような歌い方まで、1曲を通しての表現力の高さは流石と言えるだろう。特にDメロからラスサビにかけて紡がれるどんどん加速していくような熱のこもったボーカルは、聴いているこちらの感情を否が応でも盛り立ててくれる。

M2「Hi-Five!」
クラップやシンガロングで盛り上がるオーディエンスの姿が目に浮かぶ、ライブ向きのアップテンポな1曲。爽やかな疾走感を感じられる快活なロックナンバーは、印象的なリフとメロディックなサウンドで魅せるギター、リズム隊としてしっかり下支えしながら時折主張してくるベース、力強さと軽快さを兼ね備えたドラム、Dメロの特徴的なエレクトロサウンドなど、遊び心を加えた厚みのあるサウンドも耳に残る。

そんな迫力あるサウンドに千葉の明るく楽しげな歌声が加わったことで楽曲のテンションはさらに上昇。盛り上がるサビ部分はもちろん、Aメロのスタッカート気味に跳ねるような歌声を聴いていると、こちらの気分も高揚し思わず身体も動き出してしまいそうだ。ラストの「Hi-Five! Hi-Five! It’ s all right」のフレーズでは、躍動感のあるロングトーンで表現した主旋律に、力強い歌声でスパッと語尾を歌い切るコーラスパートを重ね合わせるというアレンジを敢行。歌声の重ね合わせによって2人の千葉が「Hi-Five!」=ハイタッチをしているように聴こえてくるのも面白い。

1曲目の「I’ll be」が自身のアーティスト活動への決意を示す曲だったのに対し、この「Hi-Five!」は明確に相手を意識した歌詞となっているため、千葉からリスナーへ向けた楽曲と捉えるのが自然だろう。「覚めない夢を一緒に見よう」「ここは思いたちが繋がる場所」など、この楽曲からどのようにアーティストとしてファンと共に歩んでいきたいのか、歌詞の端々から彼の想いが伝わるはずだ。

M3「感情論」
ロック調だった1曲目・2曲目からうって変わり、3曲目は大人な雰囲気を感じるチルアウトな四つ打ちダンスナンバーに。浮遊感のあるハウスミュージックライクなトラックは、一聴してカッコいいと思わせる要素が満載だ。そんな特徴的なトラックに身を委ねながらもしっかりと乗りこなしていく千葉のボーカルは、吐息多めのセクシーな歌声も相まって彼の新たな一面を引き出していると言っても過言ではない。他にも2番Aメロのラップパート、フェイク気味のコーラスなど、3分27秒という短い時間の中で彼の歌声の変化を色々と楽しめる楽曲でもあるため、ライブで披露される際はどのようなパフォーマンスになるのか期待が高まって仕方ない。

一方で、抽象的な言葉で覆われていて最初は気付きにくいが、この曲の歌詞はとにかく人間味に溢れている。「抑えきれない感情を抱いて 夢の中で必死にもがいて」「情けないこのメロディー」というフレーズに代表されるように、自問自答しながら毎日を必死にもがいて生きる等身大の人間臭さ、そしてその思い悩みが明日への希望になっているはずだという信念が至る所で感じられるのもこの楽曲の魅力の1つ。「感情論」というタイトルに関しても、歌詞をじっくり読み解いた後では印象が変わるかもしれない。弱さをさらけ出したからこそ綴ることのできる“カッコつけないカッコよさ”を是非とも感じ取ってもらいたい。

M4「WISH」
切なくも温かみのあるアコースティックギターの音色から始まる、エモーショナルなミディアムバラード。Aメロ・Bメロ・サビと経るたびにオケの音数がどんどん増え、最終的にスケールの大きい楽曲になっていく展開は王道ではあるが、変にこねくり回さないシンプルな構成だからこそ、「これからもありのまま笑っていてほしい」というこの曲の最も伝えたいであろう思いが真っ直ぐに心に響くのではないだろうか。特に2番サビ後の間奏のギターの音色は胸にグッとくるものがある。また、このEPで初めて登場したキーボードの音色も心情表現を補完するのにぴったりだ。この楽曲の作詞は磯谷佳江、作編曲は小野貴光が担当。「Hi-Five!」の作詞・作曲も両人によるものだが、かなり毛色が違うため驚く人も多いことだろう。

そしてなんといっても印象的なのは千葉の歌声である。A・Bメロの柔らかく優しい歌声は言わずもがな、サビの力強く張り上げた歌声も、聴く人の琴線に触れるような様々な感情がこもった素晴らしいものに仕上がっている。楽曲のテーマ的にもバラードという観点からも、この曲が繊細さを要求される楽曲であることは想像に難くない。しかもどんどんオケが分厚くなっていく展開であるため、それらに負けない力強さも必要になってくる。難しい要求にしっかり応え、しかも聴く側にそのハードルを感じさせない。確かな技術があるからこそできる芸当と言えよう。

M5「Blessing」

デビューEPのラストを飾るリードトラックは、彼のルーツであるロックサウンドにキャッチーさをプラスした、本人作詞のメッセージソング。ファンや周囲が思い浮かべる“千葉翔也像”をそのまま形にしたような楽曲で、グルーヴィーで疾走感のあるギターに躍動感あふれるピアノの音色、走るように軽快なドラム、明瞭で抜けのいい千葉の心地良い歌声など、最初から最後までポジティブさに満ちた音が鳴らし続けられている。「Blessing」と不意打ちのように耳元でささやくラストのウィスパーボイスにうっとりした人も多いかもしれない。

1曲目の「I’ll be」に続き、この楽曲でも千葉本人が作詞を担当。昨日まで抱いていたネガティブな感情にしっかり寄り添いながら前へ進んでいく決意を歌う様は、アーティストデビューEPのリード曲としてこれ以上のものはないと思えるほど。そして、自分自身を鼓舞する歌であると同時に、思い悩んでいる人の背中を押してくれる楽曲にもなっている。まさに「Blessing」=「祝福」というタイトルに相応しいと言えよう。

また「もう見ているだけのリハーサル辞めて」「あなたの為に幕は上がるよ」というラスサビのフレーズは、デビュー前の千葉からデビュー後の千葉へと向けた時間差のエールと読み取ってもいいのかもしれない。そういった意味では、アーティストとしての深みを増した数年後の彼がこの曲を改めて歌った時には、本人もファンもまた違った感じ方をするのかもしれない。

ロック・バラード・ダンスナンバーとジャンルレスに彼の一面が楽しめる1st EPに共通するのは、 “等身大の飾らない千葉翔也“がしっかりと表現されている点だろう。あくまでも地に足の着いた、自分や相手に丁寧に向き合い寄り添う姿勢がすべての楽曲から伝わってくるのがわかる。とはいえ、彼の持つ音楽的才能はこの1枚だけには収まらない。これからの音楽活動ではどんな色を出してくれるのだろうか?

そして、1月・2月に行われる東名阪でのリリースイベントやフリーライブを終えると、5月12日にはKアリーナ横浜で開催されるキングレコード主催の大型音楽フェス「KING SUPER LIVE 2024」の出演が控えている。ソロとしての初の大きな舞台が約2万人収容のアリーナになるとは本人も予想していなかったことだろう。ソロアーティスト・千葉翔也がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、大いに期待してその日を待ちわびよう。

千葉翔也 1st EP「Blessing」

初回限定盤
品番:KICS-94133
定価:¥3,630(税抜価格¥3,300)
形態:CD+M-CARD
※スリーブケース仕様/2枚組フォトカード封入(3種ランダム/2枚の対は同じペア)/生配信&オンライン大抽選会 参加応募券封

<M-CARD> ※初回限定盤のみ
M-CARD
・「Blessing」Music Video
・1st EP「Blessing」MAKING 収録予定
※MAKINGはレコーディングやジャケット撮影、Music Videoへの密着を予定しています
※M-CARDは動画コンテンツをスマホ/タブレット/パソコンなどでダウンロードしてお楽しみ頂けるカードです
※ダウンロード有効期限は2026年1月17日まで。

通常盤
品番:KICS-4133
定価:¥2,530(税抜価格¥2,300)
形態:CD only
生配信&オンライン大抽選会 参加応募券封入
※〈初回製造分のみ〉2枚組フォトカード封入(3種ランダム/2枚の対は同じペア) /生配信&オンライン大抽選会 参加応募券封入
※2枚組フォトカードの絵柄は初回限定盤と同様になります

【収録曲】
1.「I’ll be」
作詞:千葉翔也 作曲・編曲:小野貴光
2.「Hi-Five!」
作詞:磯谷佳江 作曲・編曲:小野貴光
3.「感情論」
作詞:吉田優斗 作曲:AILI/吉田優斗 編曲:AILI
4.「WISH」
作詞:磯谷佳江 作曲・編曲:小野貴光
5.「Blessing」 ※リード曲
作詞:千葉翔也 作曲・編曲:加藤祐平

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