阪神・淡路で被災の兵庫県内12市、GDPの伸びはわずか12% 全国の半分未満 製造業の県外移転進む

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 神戸や尼崎など阪神・淡路大震災の兵庫県内被災12市で、2023年の実質域内総生産(GDP、推計)の合計額が約14兆9千億円となり、震災前の1994年と比べて12%しか伸びていないことが分かった。全国の半分未満にとどまる。このエリアには、主力産業である大手・中小の製造業が集積していたが、震災後、復興のため生産拠点を県外や県内他地域に移転する動きが広がった。製造業の衰退は現在も続いており、厳しい状況にある。

 神戸新聞と兵庫県立大の芦谷恒憲特任教授(地域経済統計)が共同で調査。国の「国民経済計算」や県の「県民経済計算」などを基に、15年を基準として被災12市と県、全国の94~23年の実質GDPを比較した。

 この間、全国のGDPの伸び率は25%と、被災12市の2倍以上伸びている。兵庫県全体の伸び率は20%で、被災12市の落ち込みを県内の他地域がカバーして押し上げる格好となった。

 被災12市の実質GDPは震災前の94年が約13兆3千億円。震災の翌96年は、復興に伴うインフラ設備や建物の建設ラッシュなどで、約14兆5千億円まで一時的に伸びたが、その後は長期の停滞が続く。

 被災地低迷の大きな要因は、製造業の衰退だ。神戸・阪神間には、鉄鋼や造船、ゴムなどの大手や下請けの中小企業が集積し、地域経済の発展を支えていた。しかし、被災12市で生産された製造品の出荷額(名目)は、2021年に7兆7千億円と、94年の8兆2千億円を6%下回った。

 一方、兵庫県全体の21年の製造品出荷額は16兆5千億円で、94年に比べ13%増加。同じ期間の全国の伸び率10.4%を上回り、兵庫の製造業の中心が、被災12市以外の地域にシフトしている傾向が浮かび上がる。

 被災12市の県内に占めるGDP比率は23年に63%と、震災前より4.5ポイント低下する見通し。芦谷特任教授は「リーマン・ショック以降は緩やかな拡大が続いており、被災12市、県ともこの傾向は続くだろう。ただ00年代前半に広がった全国との差は解消されておらず、産業の育成が課題」としている。(横田良平)

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