【香取慎吾さん】「1日でも早く足を運べていたら」広島で語った「アート」「平和」そして「未来について」 3年連続全国最優秀賞受賞の高校新聞部取材に語った若者へのメッセージ

広島市で個展を開催しているタレントの 香取慎吾 さん。その香取さんに、アートのこと、広島のこと、平和のこと、そして今後について話を聞きました。

小林康秀キャスター
「お久しぶりです」
香取慎吾さん
「お久しぶりです」
小林キャスター
「覚えていらっしゃいますか」
香取慎吾さん
「もちろんですよ」
小林キャスター
「平和公園ではお世話になりました」
香取慎吾さん
「ありがとうございました本当に」

初めての平和公園訪問で感じたこと

2023年11月、広島を訪れた香取慎吾さん―。初めて平和公園を訪れました。原爆慰霊碑に花を手向け、ゆっくりと平和公園を歩いて回り、78年前に起きたこと、争いが絶えない現在、そして未来のことに思いをはせました。

香取慎吾さん(2023年11月 平和公園で)
「涙がこみ上げますよね。『あやまちは繰り返さないように』と、どんな人もきっと思っていると思うんですよ。この国の人間だけじゃなく、世界中の人たちがそう思っているはずなのに、今でも戦争が起きていて…」

「原爆の子の像」の前では子どもたちが合唱を捧げていました。

香取慎吾さん(2023年11月 平和公園で)
「戦争がすごく近くに、映像を毎日、ニュースで見ている中、ここに来た子どもたちは何を思うのかなって」

香取さんは、その場所に足を運ぶことの大切さを感じたといいます。

香取慎吾さん
「今ってよりそこと逆の違う世界というか、スマホの中だったりインターネットの世界でも成立する、ことが済む。そうじゃない部分で足を運ぶっていう、ぼくももっと本当、若い頃というか、学生の頃ではなくても1日も早く足を運べていたら、何かその次の日が、日常が自分の中の何かが変わっていたんじゃないかなっていうぐらいに貴重な体験でした」

「多く描くようになって見ることはなくなった」 闇の象徴「くろうさぎ」とは

平和公園訪問から1か月後の2023年12月、広島で初めてとなる個展がスタートしました。今回のテーマは「光と闇」。闇の象徴でもある「くろうさぎ」について聞きました。

香取慎吾さん
「立体は初めてかな、絵の中には登場していたが、立体は初めてでした。しっぽがないんですよ」
小林キャスター
「本当だ」
香取慎吾さん
「裏テーマというか、テーマというのはおかしな話ですが、尻尾を探しているんです。けっこう後付け、後付けなんですけど、くろうさぎって、もともとぼくのファンタジー。飼っていない、見えるはずのない黒いうさぎが家の中に見え始めて、俺は疲れてるのかな、なんて思いながら。でもこういうビジュアルだったので、30センチ、40センチぐらい、このぐらいの大きさで。ソファーの裏側からこうやって掘ってのぞいて、いるなと思って見ると、ぱっといなくなって、隠れるみたいな」

目まぐるしく多忙なおよそ20年前に姿を見た「くろうさぎ」をさまざまな作品に描くようになって、見ることはなくなったそうです。

小林キャスター
「書いておいてよかったですね」
香取慎吾さん
「よかったんだと思います。そのときのぼくの状態がどうだったのかはわからないし、見えたのか見えてないのか、状態が良い状態なのか悪い状態なのかわからないけど、今となってはこうやってどちらかといえば、みなさんが愛してくれるキャラクターになった」

「最近 本当にほとんど手で描いていない」

小林キャスター
「今回、光と闇というテーマですが、くろうさぎが闇とするならば、その後ろの絵(SKnaht)は光ですか?」
香取慎吾さん
「そうですね。けっこう、このタッチ、ぼくの好きなところです。ノンテーマで好きなところのテーマで描き続ける」

以前の個展で、開催期間中にライブペインティングしながら仕上げていきました。入場者も参加した作品です。

小林キャスター
「中でも気に入ってるところがあったりしますか?」
香取慎吾さん
「指で、手で書くんですよ。忘れるくらい、最近、手で書いていないです」
小林キャスター
「筆で描きますか?」
香取慎吾さん
「最近、めちゃくちゃで筆で描く」
小林キャスター
「この絵のときは手で描いていた?」
香取慎吾さん
「これをこういう所(服)で手をふいちゃうのが好きなんですよ。やっちゃいけない感を楽しんで。でも最近、本当にほとんど手で描いていない」
小林キャスター
「あらためて思い出しました、今?」
香取慎吾さん
「思い出しました」

3年連続全国最優秀賞受賞の高校新聞部に取材で語ったこと

この日は、香取さんの個展を取材しようと崇徳高校(広島市)の新聞部が訪れていました。新聞部は全国大会でも最優秀を受賞したり、海外メディアからも逆取材を受けたりと活躍しています。直接、質問できる時間をもらったため、出展作品をチェックして質問内容を練り上げていました。

いよいよ、香取さんと対面です。

香取慎吾さん
「どうぞ、何でも聞いてください」
崇徳高校新聞部
「お時間をいただき、ありがとうございます。まず全体の会場を見させていただいたんですけども、広島会場独自に作られた広島サンセットという作品の工夫したところや思いについて聞かせていただきたい」
香取慎吾さん
「そうだな、大鳥居を書きたいなとは思っていたんだけど、そこからグルーっと回って広島のことをいろいろ考えて…」

質問したのは、広島会場限定で作られた「広島サンセット」。以前、タレントの 出川哲郎 さんとロケで訪れたことのある厳島神社(広島・宮島)。ただ、その時、大鳥居は修復工事中でした。見たいという思いが、この夕暮れ時の大鳥居の絵の製作につながりました。

香取慎吾さん
「でもなんか夕日ってすごい、きれい系だけど、ちょっと切なくもあり、寂しさもあるんだけど、でも夕日があるから、また明日が来るって、けっこう好きで」

香取慎吾さん
「明日を生きる人って、自分のことを思っていて、今を生きるって思っていたんだど、それを飛び越えて、今よりも明日を生きようと思って生きている。そうすると、このサンセットがあることにより、また次の明日がやってくるから」

崇徳高校新聞部
「これから将来を選択していく高校生たちに人生の大先輩として何かメッセージを送っていただけたら」
香取慎吾さん
「これから選択していくと思うけど、選択に困ったり、選択大事だなと思うと思うんだけど、そんな大事な選択が山のようにあるから、そんなに重く受け止めなくていいよ。けっこう重い選択・決断だなって思っていたのに、その後も山のようにそういうのは来るから、もうちょっと軽い気持ちで考えて。その決断をしても、さらにそれを超えてくる決断をするときがやってくるから」

香取さんの取材を終えた高校生たちは…

取材にあたった新聞部員
「15歳16歳頃から続いてるってことで、あれだけすごい日本で活躍されてる方も原点は若いときにあるのだなって、すごく驚きました」
「とても気さくな方に、やっぱり国民的スターとともに内面からもすてきな方なんだなと思い知らされました」
「わたしたちの聞きたいことは全て聞いてくださって、本当に感謝です」
小林キャスター
「いい記事が書けそうです?」
みんな
「書きます!」

「絵」は「歌」と共に香取さんの「心の核」

楽しい時も、心の葛藤がある時も絵を描き続けてきた香取さん。「絵」は「歌」とともに香取さんの心の核であると話します。

小林キャスター
「香取さんにとっての今後の地図を教えていただきたい、今後の新しい地図を」
香取慎吾さん
「けっこう広がっていきますね」
小林キャスター
「どのぐらい広がりますか?」
香取慎吾さん
「その先のことがどんどん自分の中でアイディアも浮かんでいるし。もっとこうしたい、もっとこんなところでこんなショーをしたい、こんなアートの個展とか、もういっぱいあります。それによってさらに来年、すぐ舞台とかやるんですけど、こっち(絵)がこれだけ充実させてもらってると、舞台へのこの活力も沸いてくる」
小林キャスター
「そういった意味では、絵には元気の源が詰まっているんですね。香取さんの原動力というか…」
香取慎吾さん
「幸せが詰まっています」

香取慎吾個展「WHO AM I」は、1月21日(日)まで広島市中区のNTTクレドホールで開かれています。

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